※本稿は、佐々木成三『元捜査一課刑事が明かす手口 スマホで子どもが騙される』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
最初は優しかった相手から「裸の写真送ってよ」
中学1年生のアユミは最近スマホが手放せない。
中学入学のお祝いに、やっとスマホを買ってもらえたのだ。
学校ではスマホの使用は禁止だけど、帰宅するとすぐに部屋に閉じこもり、スマホでゲームをするのが日課だ。
今日も寝転がってゲームをやりながら、ふとゲームアプリの掲示板を見ると、
「無料でLINEのスタンプをあげます!」
という書き込みを見つけた。
軽い気持ちで「ほしいです!」と返事をすると、すぐに、返事が来た。
何回かやりとりしていると、最初は優しかった相手の態度が変わってきた。
「無料でスタンプだけあげるわけないだろ。裸の写真送ってよ」
「……えっ」
無視しようと思った。このままやり過ごせばきっと大丈夫。
相手からさらに追い討ちをかけるような返事が来た。
「写真を送らないと、学校に行けなくなるぞ」
……無視、無視。このままスルーしちゃおう。
女の子からのメッセージ「実は私も同じ目に遭ったの」
すると、そのやりとりを見ていたらしき女の子から「大丈夫?」とメッセージが来た。たまらなく不安になり、「どうしよう。無視してもいいよね?」と相談すると、「実は私も同じ目に遭ったの」という。どうやら私と同じ年齢の女の子のようだった。私は安心して、不安な気持ちを彼女に打ち明けた。
それからだ。彼女から次々と恐ろしいメッセージが届き始めた。
「私も最初は無視していたんだけど、やりとりしていくうちに私のこといろいろ調べたらしくて、名前も通っている中学もバレちゃったの。それで学校にもあることないことデマを流されて」
「どんなにデマだって言ってもダメだった。おまけにネットでも嘘のデマをさらされちゃって……」
「親も学校に呼び出されて、最終的には学校にいられなくなって、転校することになっちゃったんだ」
「私が早く写真を送っていれば、こんなことにはならなかったかも。いつまでも送らないでいると、何をしてくるかわからないよ。送っちゃったほうが早いよ」
「1回送っちゃえば大丈夫だから。しつこくはしてこないよ」
「“すぐに削除して”って頼んでおけば大丈夫だよ」