いつも会っている職員がサンタクロースに扮したとしても、子どもは嘘を見抜きます。ですから、クリスマスには本物を呼んで、ストーリーも設定も職員全員で共有するように徹底しています。

ただ、昨年はコロナ禍でサンタクロースに来てもらうことができなかったので、サンタクロースと子どもたちで手紙の交換をしつつ、特別なムービーを作り、園で見てサンタクロースの存在を感じる取り組みをしました。

少子化時代を生き抜くための2つの提言

【野地】ありがとうございました。最後に、コビーアソシエイツを参考にして、少子化時代に立ち向かう企業、ビジネスパーソンは何をやればよいでしょうか。

【小林】私からふたつ提言します。ひとつは企業もビジネスパーソンも教育です。教育と言っても知識、情報を詰め込むことではない。

体験です。体験と情熱。そのふたつがサービスを向上させる。リモート時代ではあるけれど、こればかりは現実の体験を積ませるしかない。

JALのキャビンアテンダントはコロナ禍で仕事が激減し、コールセンターに派遣されていました。ああいった体験は飛行機に乗務してからでもサービスの品質向上に役に立ちます。真剣さを追求した実践の場でないとスキルは上達しないんです。

企業、ビジネスマンはサービスのスキルを上達させるためにも実際の仕事体験を増やすことでしょう。

目に見えない世界を信じる人は本質を見抜く

もうひとつ、考え方の転換です。

目に見えない世界があることをちゃんと信じる。人が「よい、素晴らしい」と感じるサービスは受け手によってまったく違ってきます。笑顔をよいと思う人もいれば、貼り付けた笑顔はうっとうしいと感じる人もいます。

相手によってサービスを変えるよりも、優しい気持ちを持つ人間になるしかない。考えてやるのではなく、やらずにはいられないことをやるのがサービスです。

話は迂遠うえんになりましたが、わたしは目に見えない世界を信じている人がサービスの本質をちゃんと分かっていると思うのです。

なぜなら、世の中には目に見える世界だけを信じている人がいます。お金、肩書、よいとされる職業……。その人たちはサービスと聞くと、「何をサービスしてくれるんだ」と値下げを迫り、おまけをもらおうとします。しかし、人が感謝するサービスとはお金でもおまけでもありません。人の優しい気持ちです。つまり、目に見えないものなんです。

目に見えない世界があると信じなければ優しい気持ちのサービスを人に提供できるようにはならないでしょう。

コロナ禍は終息します。日常は戻ってきます。しかし、どんな職業にあっても、サービスの大切さは変わらないと思います。

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