苦しい時に何をしたかで10年後の自分が決まる

さらに、売り上げが上がらない中、同じことをやっていてもダメだということで、新たなビジネスチャンスを作っていこうと、いろんな種をきました。

当時の事業は営業のアウトソーシングでしたが、お客さんは携帯電話業界やパソコン業界など、デジタル家電の業界が多かった。だから、ITバブルの崩壊の影響をもろに受けたわけですが、そのノウハウを使って横展開していくことを考えました。

クレジットカードや付加価値サービスなど、これもまたうまくいきました。新しい領域で売り上げを大きく上げることができ、後に100億円を超える売上高を記録することになるのです。

コロナの余波は、しばらく続いていくことになるでしょう。しかし、この苦しい時代に何をしたかが、後に大きく影響してきます。会社でも、個人でも。この1~2年のアクションが、この先10年後の自分を大きく変えることになるということです。ピンチのタイミングというのは、とても大事な時期なのです。だから、しっかり考えて動いていくべきなのです。

振り返ってみれば、私の場合は厳しい時代に立ち上げたもののほうが、明らかにうまくいっている印象があります。景気のいいときに始めたものではなく、不況のときや危機的状況のときに始めたものこそ、うまくいく。

その意味でも、今は大きなチャンスの時期がきていると思っているのです。

晴海埠頭から見た竹芝桟橋側面
写真=iStock.com/Moarave
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「やみくもにやるのはどうなのか」と考える人へ

時間もできて、何かをしたい。でも、やみくもにやっても、どうかと思っている。何か将来の方向性を定めて、それに向かって実験なりをしていったほうがいいのではないか。

こんな質問をよく受けることがあります。もちろん、方向性が定まっていれば、それにこしたことはありません。しかし、何度も書いているように正解のない時代になってしまった。今は方向を定めようにも、定めるのはとても難しいと思うのです。

あまりに決めつけてしまうと、むしろそれはリスクになってしまうかもしれない。その意味では、自分の本質、一番大切にしたいものは変えてはいけないけれど、手数はいっぱい打てばいいと思っています。

実験には失敗もあります。こだわり過ぎてしまうと、これが失敗したら、もうすべておしまい、などということにもなりかねない。賭けすぎると、こういうことが起きるのです。だから、手数はいっぱい打っておく。

バックスグループ時代にも、何か新規事業をスタートしたら、その新規事業を伸ばすための施策をとにかくたくさんリストアップして、それを次々に打っていきました。

最初から、これをやればうまくいく、ということがわかっていればいいですが、そんなことがわかるはずがない。だから、とにかく手数を打った。どれかがうまくいけばいいや、とやっていったのです。