読者にとって、何が最も魅力になるのか。それは第三者だからわかる。このくらい、事業や企画の方向というのは、難しいということです。だから、手数を打っていったほうがいい。いろいろな実験を、していくことです。

「仕事をハードにやらなくていい」という価値が支持されている

アメリカでは、20代、30代でリタイアする生き方「FIRE(Financial Independence Retire Early)」ムーブメントが注目されています。経済的に独立して早期退職することを目標とするライフスタイルです。

昔から、ウォール街で大きく稼いでリタイアして、フロリダで遊んで暮らす、などという生き方がありましたが、今のリタイアはそうではない。大きく稼いでリタイアする、というのとは違います。

無駄遣いを一切しないでお金を貯め込み、ある程度まとまったら、その運用利回りを生活費にあてる。仕事は辞めてしまうか、ライトなものにする。

大きな収入があるわけではありませんから、ここでは支出をとにかく抑えることがポイントです。派手な暮らしをしたりしない。その代わり、それによって経済的な自由を手に入れることができる、というわけです。

もうこれで、何かにとらわれることがない。無意味に思える仕事をしなくていい。リタイアが目的主体というよりも、仕事をハードにやらなくていい、という価値が支持されているのではないかと思っています。

高い生活費のために無駄に働いていないか

その意味で、見直さなければいけないのは、支出の部分です。支出をいかに選択して絞り込めるか。できるだけそれをミニマルにしていくことが、幸せなライフスタイルを作っていくためには、とても大事になってきています。

それこそ、現実的に大変な資産家になってリタイアすることができる人というのは、世の中の1%もいないでしょう。そんな中で経済的な自立を実現させるには、やはり支出を徹底的に考えた上でコントロールできるか、にかかってきます。

本田直之『パーソナル・トランスフォーメーション コロナでライフスタイルと働き方を変革する』(KADOKAWA)
本田直之『パーソナル・トランスフォーメーション コロナでライフスタイルと働き方を変革する』(KADOKAWA)

そしてそのためにも、自分にとって何が大事なのかを明らかにし、ライフスタイルをしっかり考えて生活することが大事になるのです。

私が主宰するオンラインサロン「Honda Lab.」でも、メンバーから「収入が減っても、あまり影響がなかった」というコメントがありました。しっかり自分を見つめることで、本当に必要なものが見えてくるのだと思っています。そして、実はそれさえ手に入ればいいのです。

実際のところ、無駄に高い生活費をキープするために、一生懸命、無駄に働いている人がものすごく多い印象があります。それは多くの人が、実は自身で感じているところなのではないでしょうか。本当にそこまでの生活費をかける必要があるのか。無駄に振り回されていないか。無駄に嫌な思いをしていないか。無駄に働かされていないか。

コロナの到来は、そうしたライフスタイルを根本的に見直す、いい機会をくれたのではないかと思うのです。

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