「花形部署&出世コース激変」という地殻変動が起きつつある

逆にリモートワークになって頭角を現す社員もいる。前出の広告会社の人事部長はこう語る。

ビジネスマン
写真=iStock.com/taa22
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「30代前半の社員ですが、職場では口数が少なく、趣味はゲームというどちらかというとパソコンオタクで変わったやつという印象でした。在宅勤務になると、水を得た魚のように同僚にオンラインスキルを教えたり、頼られる存在になったりしています。ウェブ会議でもチームの仕事の進め方や業務の効率化を積極的に提案していますし、上司も彼のおかけで職場のコミュニケーションが活発になったと評価しています」

日頃は目立たないがオンライン時代になり、隠れた才能を開花させる社員もいる。また、コロナ前は日陰の部署的存在と言われた情報システム部門が今、脚光を浴びている。前出の倉庫会社の人事部長はこう語る。

「情報システム投資はコロナ前から続けていますが、テレワークやオンラインシステム投資の予算も拡大しています。情報システム部の人員も増強し、担当者がリモートワーク研修の講師を務めるだけではなく、残業管理や仕事の進捗管理、非対面営業対策など社内改革プロジェクトのリーダーも務めるようになっている。発言権も強くなり、人事に係わる領域にまで口を出すようになっていますし、今では間違いなく当社の花形部署になっています」

在宅ワークで頭角を現す人・沈む人の特徴

コロナ禍で進むテレワークやオンライン業務で沈む社員もいれば、浮上する社員もいる。評価の軸や出世コースも変化しつつある。

情報システム改革は企業の事業継続に不可欠な要素なっており、当たり前になったテレワークを続けたいというビジネスパーソンも増えている。

その一方で、緊急事態宣言以降、再び出社を強制している会社もある。中堅サービス業の人事課長は「このままではブラック企業と呼ばれかねない」と危惧する。

「テレワークへの転換を阻んでいる元凶は経営幹部です。コロナ前は対面で自分が思いついたことをやれ、と指示するのがしょっちゅうでした。しかし在宅勤務のように非対面になると、思いつきで仕事を命じることができない。彼らはそれが嫌なのです。だから緊急事態宣言が終わると『さあ、皆出社しろ、やっぱり対面が一番だよな』とうそぶいています。それでいて職場の机は相変わらず島形の向かい合わせの配置ですし、机と机の間にはお金がかかるからと、アクリル板もありません。せいぜいマスク着用と窓を開けているだけで感染対策はできていないし、いつクラスターが発生してもおかしくありません。採用活動にしても、オンライン面接ではなくわざわざ学生に来てもらって対面でやっています。学生からすればブラック企業と思われても不思議ではありません」

強制出社・テレワークなし、感染対策なしという企業は当然、学生から選ばれるとは思えないし、逆に社員の離職を促すかもしれない。クラスターでも発生すれば、会社の浮沈にも影響するだろう。

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