コロナ禍で数学Ⅲが選択科目に、文系出身者にもチャンス

大学受験において、医学部は理系最難関学部である。国公立大の医学部や、学費安めの私立医大の多くは数Ⅲが必須であり、医学部受験する社会人にとっては大きな壁となっていた。

しかし2020年6月、文科省はコロナ禍で長期休校した現役の受験生のために各大学に個別試験での「出題範囲の配慮」を要請した。具体的には、高校3年で学ぶことが多い数学Ⅲや物理などで、「学びきれなかった範囲を避けられるよう選択問題を設ける」「学習指導要領を超える『発展的な学習内容』は出題しない」などである。

これにより、大学受験からブランクのある社会人受験生に追い風となると同時に、数Ⅲや微積分を履修していない文系出身者にも医学部への可能性が出てきたことになる。

また、コロナ禍で在宅勤務や副業を容認する企業が急増した。医大受験予備校もオンライン授業や面接を取り入れる学校が増えている。多忙な社会人でも勉強時間の確保が、前年度に比べて容易になった。よって、コロナ禍がもたらした社会のオンライン化は、社会人受験生にとっては追い風でもあるのだ。

社会人が医学部に入るなら「一般枠」か「編入枠」で

社会人が医学部再受験を目指すには2つの道がある。

1つは、上記のように高校生と同様に「一般枠」で学力試験を突破する方法、もう1つは「社会人編入枠」を目指す方法である。

2000年以降「良医育成のため、いちど大学を卒業し社会経験を積んだ人材を、積極的に医学部に編入させること」という名目で編入試験を実施する医大が増加し、現在では合計約200~220人の編入枠が設定されている。定員数は少なく(1~20人)、倍率は非常に高い(おおむね10~20倍、中には50倍超も)が、医学部の2年次(1年次後期、3年次もある)に編入できるので在籍期間が短縮されるのも魅力である。

胸の前で腕を組む外科医
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社会人編入枠の受験は具体的にはどんな内容なのか。

最大の特徴は、一般枠に比べて受験科目が少なめという点だ。高3生などが受験する一般入試では、国公立大の場合、大学入学共通テスト(旧大学センター試験、5教科7科目)のあと、2次試験で学科試験(英・数・理科2科目が主流)+面接を受ける。一方、私立大の場合は、学科試験(同)と面接などが課される。

社会人編入枠でも、1次試験:学科試験と2次試験:面接の組み合わせが多いが、1次では「英語+生命科学」「英語+総合問題」「自然科学系および生命科学系(数学・物理、化学・生物)」など、2次で小論文・面接というパターンが多い。小論文や面接が重視される傾向があり、国公立大の場合は共通テストを受ける必要はない。さらに、入試期間は大学によって、5~6月、7~8月、9月以降とそれぞれ異なるため、複数の大学を受験することが可能であることも社会人受験生にはメリットだろう。

編入枠は、かつては「医学研究者募集」的な意味合いが強く「元研究職」「博士号所持」などが優遇されたが、近年では「卒業後も地元に定着してくれそうな人材」が選ばれているといわれる(特に地方医大)。

出題傾向は大学によってさまざまなので、事前の情報収集が重要になる。河合塾KALSのように、「社会人医学部編入コース」を設ける予備校もあり、オンライン授業やe-learningも行われているので、本気で受験を考えるならば検討する価値はあるだろう。