実際、かつて、凄惨な犯罪を引き起こした新興宗教である、オウム真理教がその手法を巧みに使っていた。彼らが展開した「うまかろう安かろう亭(飲食店)」「オウムのお弁当屋さん」「マハーポーシャ(パソコンショップ)」などは、信者がタダ働きしているため、コストが極めて安く、そのため価格の割に品質がいいことで有名であった。
もちろん、このことはオウム真理教を擁護する性質の話ではなく、純粋にビジネスモデルについて考えた場合の話である。
実は、ビジネスインフルエンサーが展開するオンラインサロンも似たような構造になっており、サロンの宣伝や運営の手伝いを無償でさせられ、それによってスキルが身につく、という理由で対価が支払われないことも多い。
多くのオンラインサロンは、新興宗教を現代風にしたビジネスであり、宗教の基本フォーマットである「修業、労働、布施、勧誘」を信者に行わせることによって利益を得るビジネスモデルなのである。
「これは何で儲かっているのか」という視点を持つことが重要
このように、誰か影響力を持っている人の言うことを鵜呑みにするのではなく、むしろ、「その人がどうやって金を儲けているのか」を着眼点にすることで、真の狙いが見えてくるのである。
真実が現れるのは「その人が何を言っているか」ではなく、むしろ、「その人が誰から、どうやって金をもらっているか」なのである。
そして、この「金儲け視点」を持つか持たないかが、「儲けさせてくれる社員」と「損をさせられる社員」の差である。
つまり、自分が勤めている会社が、「何を、誰に、どのように」売って、どのくらい儲けているのか、その儲けの源泉を把握し、どのようにその金儲けに対して貢献できるかを考え、行動している社員が「会社を儲けさせてくれる社員」だと言える。
逆に、自社の儲けの構造を全く考えていなかったり、その考えが浅いがために真に理解できずに見当違いのことをしてしまったり、ただ単に目の前の与えられた業務をこなすだけのような社員はいずれ、コストカットの対象となり、「損をさせられる社員」として切り捨てられてしまうのである。
生き残るために、騙されないために必要な「金儲けリテラシー」
コロナ禍による不況、さらに不況対策のための金融緩和により、今後はますます「持てる者と、持てない者」「儲ける者と、儲けられない者」の二極化が進んでいくと考えられる。
そのような中で必要なのは、いま、大きな組織にいるのであれば、その中で、組織に「金を儲けさせること」により、自分が組織に守ってもらう側、必要とされる側に立つことである。
そして、いま、自分が弱い立場にいるのであれば、「弱者から金を儲けようとする人がどう引っ掛けようとしてくるか」を知り、自分を守ること、そして、正しい金儲けの方法を知って、自分が強者の側に立つことである。
私はかつて、東大在学中に起業した際、「金儲けのノウハウ」がまとまった本がないことに非常に困ったという体験がある。
この度、上梓した『金儲けのレシピ』(実業之日本社)はそんな「金儲けのノウハウ」をまとめ、搾取から身を守り、また真摯に金儲けに取り組もうとする人のための本である。
コロナ以降の社会を生き残るために不可欠な、「金儲けリテラシー」をぜひ本書で身につけて欲しい。