会社よりもインフルエンサーに依存するほうが危険

前述のような状況下で、いわゆるビジネスインフルエンサーが「個の時代」などといったキャッチフレーズを掲げ、「任意のスキル(YouTube、プログラミング、ブログなど任意のバズワード)を学べば個人で食っていける」「企業に依存する生き方はむしろ危険」というような主張を行っている。

そのような主張につられてオンラインサロンや高額なスクール費用に課金を行い、安定したキャリアを投げ出す人も後を絶たない状況である。

しかし、少し考えてみると、その業界の収益性というのは、基本的に需給によって決まるので、インフルエンサーが「Xは儲かる」と言って煽った瞬間に人が殺到し、一気に儲からないビジネスになってしまうのが基本である。

従って、会社に依存するのも危険だが、インフルエンサーに依存するのはより危険であるとすら言える。

インフルエンサーからは「信者ビジネス」を学べ

では、インフルエンサーから学ぶべきものが無いかというと、全くそんなことはない。

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写真=iStock.com/metamorworks
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インフルエンサーの掲げる「個人のスキルで食っていく」という主張を真に受けるのではなく、逆に、その事業構造自体を解析して、自分の仕事に活かすなり、あるいはそのままパクるのも一つの手だろう。

インフルエンサーが、「Xを学べば儲かる」という主張をするのは、基本的にその「Xを学ぶ」ための情報商材なり、スクールなりに誘導するためである。そのため、「X」は、ブログ、YouTuber、プログラミングなど、(突き詰めると奥は深いのだが)誰にでもとりあえず取り組むことができる、誰にでもチャンスがあるように感じられるものであることが多い。

要は、情弱と言われる層を引っ掛けるためには、始めるハードルが低く、一攫千金の可能性を提示するのが、ベストの方法なのである。

このように、情弱を集めて「儲ける手段」を売りつけるのが、インフルエンサーが得意とする「信者ビジネス」の本質なのだ。

信者ビジネスはなぜ儲かるか

「信者ビジネス」というネーミングからも分かるように、ビジネスモデルの原型は宗教にある。

日本においても海外においても、寺社仏閣や教会が有名な観光地足りうるのは、それが豪華で、金のかかった建物だからである。

逆に言うと、そのような建物を建立することが可能な宗教は、ビジネスとして見ると、基本的に極めて収益性が高いということである。

その大きな理由としては、通常のビジネスにおいては、誰かに働いて貰う場合、給与なり業務委託費なりを払わないといけないが、信者ビジネスの場合は、「修業」ということにして、タダ働きさせることが可能だからである。