赤字が重い西武と京成
各社決算の概要を見てきたが、その中からレジャー部門の赤字が重い西武HDと、運輸部門の赤字が重い京成の2社を取り上げて、決算の中身を見ていきたい。この2社は連結売上高に占める経常損失の割合が高い上位2社でもある。まずは西武HDだ。
プリンスホテルなどを運営する同社は、ホテル・レジャー事業が軒並み打撃を受けている。2020年度上半期累計(セグメント別売上高)を見ると、都市交通・沿線事業が前年同期比33.2%減の586億円、建設事業が同7.6%減の463億円、ホテル・レジャー事業が同72.1%減の340億円、不動産事業が同15.6%減の267億円だった。
2019年度上半期累計(同)では、ホテル・レジャー業が約1220億円で、都市交通・沿線事業が約878億円、建設事業が約501億円、不動産事業が約317億円だったことを見ても、ホテル・レジャー事業の大幅な落ち込みが目立っている。
シティホテルは8割減、リゾートは7割減と厳しい
今回の決算では都市交通・沿線事業の約57億円の営業損失に対し、ホテル・レジャー業は302億円の営業損失を計上。償却前営業利益では、都市交通・沿線事業は50億円の黒字を確保しているものの、ホテル・レジャー事業は228億円の赤字でキャッシュアウトの大きな要因となった。
ホテル・レジャー業の営業収益内訳を見てみると、シティホテル業は前年同期比81.6%減の約117億円、リゾートホテル業は同71.6%減の約64億円、海外ホテル業は同52.1%減の約53億円、ゴルフ場などスポーツ業が同53.9%減の約47億円、横浜・八景島シーパラダイスなどその他が同60.6%減の約49億円と、いずれも厳しい数字が並んでいる。
西武HDでは、人件費や水道光熱費、広告宣伝費等の固定費を削減するとともに、不急の設備投資の抑制(約360億円)、中間配当および期末配当を無配とするなど、総額620億円程度の圧縮を行い、キャッシュ流出を抑制したいとしている。
「運輸事業」が重しになっている京成
続いて京成電鉄を見ていきたい。地下鉄経営に特化した東京メトロを除けば、京成は大手私鉄の中で事業に占める運輸事業の割合が最も高い会社である。2019年度上半期累計のセグメント別売上高を見ると、運輸業の約802億円に対し、流通業が約338億円、不動産業が約135億円、建設業が約109億円、レジャー・サービス業が約47億円で、運輸業がグループ売上の過半を占めていた。
鉄道利用が大幅に減った2020年度上半期累計でみても、運輸業が約492億円、流通業が約294億円、不動産業が約107億円、建設業が約105億円、レジャー・サービス業が約28億円と、その構図は変わらない。