中高生が「自己責任」を口にする息苦しい社会
最近の若者は恥を知らない? いえいえ「自己責任」「自業自得」という言葉を、中高生がふつうに使っています。「困ったら人に甘えるなんてとんでもない。自分のことは自分で責任持ってなんとかしなさい」と、10代から洗脳されているのです。
20年ほど前から日本型の終身雇用や年功序列が崩れ始めて、「就職したら一生安泰」という甘えが許されなくなったことや、一時期「生活保護受給者バッシング」に火がついたことも、社会を息苦しくしています。
とにかくこの国では、「つらい」「助けて」と言いにくい。しかし、行き詰まってしまったら、自分だけでできる努力には限界があります。だれにも相談できず、救いも求められず、体を壊したり心を病んでしまったりしては、元も子もありません。
本当に強いのは「上手に助けを得られる人」
さて、精神医学の世界でいうところの、いい意味の「甘え」は、素直に人の好意をあてにしたり、受け入れたりすること。
このような形での甘え方を知らない人こそ、うつ病になりやすいといってもいいでしょう。「打たれ強い人」「心が強い人」とは、決して「打たれても平気な人」「修羅場でひとりがんばり抜く人」ではありません。「打たれたときに誰かに頼れる人」「修羅場を生きのびる方法を知っている人」が強い人なのです。
苦しいときには、だれかに打ち明けてみる。行き詰まったら頼れる人や窓口を見極め、「力を貸してください」と駆け込む。そういう「甘え」は、弱さどころか生き抜く力、自己主張できる強さです。
また、相談された=甘えられた側も、「頼られた」「自分が選ばれた」「尊敬されている」と、むしろ喜んでくれることが多いのです。