先に値段を決めてしまったほうが、アイデアに困らない
では、そんな大切な値段を最初に決めるときは、どうすればいいのでしょう?
さまざまな考え方がありますが、僕は、まず値段を決めた上で、提供する価値を調整することをおすすめします。
一般的な方法としてよくあるのが、値決めをするときに競合などの市場環境やターゲット層をリサーチして、「この値段なら売れる」という推測のもと値段を決めるというプロセスをたどるというものです。「この商品を好みそうなのは若い男性で、競合商品はいくらいくらだから、それより少し安い○○円にしよう」というようなやり方です。
これに対して僕は、先に独断で値段を決めます。「一杯300円のラーメンを売る」にせよ、「一杯3000円のラーメンを売る」にせよ、とにかく値段を先に決めてしまうのです。
こうやって値段を仮にでも決めてしまえば、「300円のラーメンを欲しがるのはどんな人か」「何杯売らないといけないのか」「どんな立地と相性がいいのか」「家賃はいくらくらいまで払えるのか」「どんなラーメンなら価格と価値の不等号を成立させることができるのか」といったことがイメージできるようになってきます。さらには告知方法や欲しい人材など、ビジネスを形にするために必要なものを、パズルのピースのように見つけることができます。
市場リサーチからは、曖昧な戦略しか出てこない
一方、一般的なやり方で、「リサーチの結果、このエリアには20代男性が多いから、20代男性向けのラーメン屋を開く」と決めたとしても、最適な値段を決めることは難しいはずです。そもそも「20代男性」というターゲット自体が曖昧なので、「どんな価値を提供すればいいのか」「値段はどうするのか」といった点がなかなか決められません。そうなると、結局「競合よりも少し安くする」という安易な値段設定を採用しやすくなってしまうのです。
曖昧なターゲットに向けて安易な値段や価値を設定するくらいなら、値段を決めてから、商品の中身や価値を決めるほうが合理的です。