想定するお客様のライフスタイルを具体的にイメージする

値段を仮決めしてから、商品の価値を詰めていくやり方は、慣れないうちは難しいかもしれません。そういったときは、カスタマーストーリーを作るのがいいと思います。

西村豪庸著『SURVIVE 不確実性の高い新時代における生き残り戦略』(プレジデント社)
西村豪庸著『SURVIVE 不確実性の高い新時代における生き残り戦略』(プレジデント社)

300円のラーメンを好きになってくれる人のライフスタイルをできるだけ具体的に想像して、ストーリーにしてみるのです。

実際、僕は新しい事業を興すとき、その事業の商品を買ってくれるお客様をイメージして、このカスタマーストーリーを作り、従業員と共有していました。一時期は「短編小説を書くのが仕事」みたいになっていましたが、これも一人ひとりの顧客、ターゲットにしっかりフォーカスするため、顔が見えるマーケティングをするためでした。

要は、「できるだけ具体的にお客様のライフスタイルを想像する」ことが、価値を詰めていくときに重要なのです。

そして、その顔が思い浮かぶ人に向けて、「あの人は月3万円のお小遣いの中から、このシャツを買ってくれるだろうか? 買うだろうか?」と考えているわけです。

「百円玉」と「一万円札」のどちらを集めるのが得意か?

そんなわけで、値段、価格を決めるときは、「自分が低価格商品と高額商品のどちらを売るのが得意なのか」という点も考えると良いと思います。つまり、「百円玉を集める」のと「一万円札を集める」のを比べて、自分はどちらに向いているのか、頭の中の「キャラ」と相談して、「イメージがつきやすいのはどちらか」ということです。

僕は、自分が商品やサービスに高い付加価値をつけて高額で売るほうが得意と自覚していますから、「ラーメン屋をやれ」と言われれば、一杯1万円や3000円のラーメン屋をつくるでしょう。でも、僕と違って薄利多売の商売が好きで上手な人であれば、一杯300円のラーメン屋を開いたほうがうまくいくと思います。