以下に、ハーボルドが最も重要とみなしている規律を挙げてみよう。

●プロセスに関する規律

全社的なプロセスをすっきりさせ、会社に関するデータに社内の誰もがアクセスできるようにする。会社の財務実績や社員のパフォーマンスなどに関するデータに社内の誰もが簡単にアクセスでき、すんなり理解できるよう、報告システムを簡素化しよう。

たとえば、パフォーマンス評価フォームでは規格化された測定尺度を用いる。また、報告書の数を、必要な情報を伝えるために欠かせない最小限の数に抑えよう。「マイクロソフトには12の図表しかなかったが、それで会社の財務実績に関するあらゆる疑問の98%に答えていた」とハーボルドは言う。

●行動に関する規律

これは一言でいえば、分散化を避ける、ということだ。情報技術、人的資源、調達、広報など、全社共通のサービスを提供する部署が組織内で重複しないようにしよう。ハーボルドが指摘するように、どの事業部門もできるだけ独立して活動できるよう、えてして自前の部署をつくろうとする。そのような分散化はコストを増大させ、いくつもの重複を生み出すことになる。

それをはっきり把握するために、たとえば調達が組織全体に分散していたらどうなるかを検討してみよう。ハーボルドは、業績が好調で財務的に安定しているある企業で起きたことを紹介している。大手のベンダーがその企業の本社に、おたくの会社は「倒産」しそうになっているにちがいないという手紙を送った。そのベンダーへの支払いが六カ月間も滞っていたからだ。なぜこのような混乱が起きたのか。その会社では、どのグループでも好きなときに好きなベンダーに連絡するだけで必要な資源を調達することができた。しかも、継続的に調達と支払いを処理する中央のシステムを設けてはいなかったのである。

●人材に関する規律

配置転換は、積極的に行おう。そもそも縄張りができないようにするために、また形をとり始めた縄張りを解体するために、チームや部署、または部門の人材を入れ替えよう。ハーボルドが述べているように、社員が組織内の1カ所に何年もとどまっていると、会社はその社員の異動を渋るようになる。他の部署に移ったほうがよりよい貢献ができると思われる場合でさえ、なかなか異動させようとしないのだ。

縄張りは長年そこにいるメンバーの専門知識や年功をベースにして生まれてくる。その結果はというと、チャンスは失われ、アプローチは時代遅れになる。縄張りの住人のスキルや覇気が低下するからだ。

こうした展開を避けるために、優秀な社員にはさまざまな職務を転々とさせて、多様な経験を積ませるべきだとハーボルドは述べている。