国や東京都が「24時間移動」の必要性を説明すべきだ
東京は、世界でも類を見ないほど鉄道が特異的に発達した都市であり、鉄道に大きく依存した都市なので、鉄道が動くリズムが変われば、社会の動きも変わる。このため、JR東日本をはじめとする鉄道会社の意図通りに来春終電繰り上げが実現すれば、東京の夜は確実に早くなる。それは、鉄道を支える現場の労働環境の改善につながる一方で、人々が活動する時間が短くなり、深夜に働くエッセンシャルワーカーの移動が制限されてしまう。そのことは、都市全体で見ればマイナスで、活力が低下する要因になりうる。
この動きを回避するには、国や東京都がしっかりと説明する必要がある。「なぜ東京を24時間移動しやすい都市にする必要があるのか」という理由を明確に述べ、一般や交通事業者にわかりやすく説明し、理解や協力を得る。それができなければ、東京が国際競争力において海外の都市の後塵を拝したまま衰退するという、誰も望んでいない結末が待っている。