「妄想ドローイン」で姿勢は改善できる

もうひとつ、生活のなかでこっそりとできるエクササイズを紹介しましょう。

池谷敏郎『代謝がすべて やせる・老いない・免疫力を上げる』(角川新書)
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「ドローイン」という体幹トレーニングはご存知でしょうか。

お腹を凹ませた状態をキープしながら呼吸を続けるというものです。お腹のいちばん奥にあり、内臓全体をコルセットのように包み込んで守っている「腹横筋」や「腹斜筋」を鍛えるトレーニングです。

通常は、膝を立てて仰向けに寝た状態で行うことが多いのですが、このドローインをいつでもどこでも咄嗟にやろうということで考案したのが、「誰かが自分のお腹を見ている!」と勝手に妄想することです。

たとえば、会社内にいるときに「みんなが自分のお腹を見ている!」と妄想するのです。そうすると、咄嗟にグッとお腹を凹ませますよね。外出先でも「お腹を見られている」と思いながら歩くと、お腹を凹ませて腹横筋や腹斜筋を使いながら歩くことになります。

気が抜けると元に戻るので、鏡やガラスに自分の姿が映ったときには、必ずグッとお腹を凹ませる。そう習慣づけるのもいいですね。

自分の姿が映ったときに髪形を気にする人は多いですが、みなさん、お腹は無防備です。でも、中高年になってくると、シルエットで見た目の若さが変わります。薄くなった髪を一瞬で変えることはできませんが、ポッコリと出っ張ったお腹を一瞬で凹ませることは可能です。

お腹がへこむだけで印象は大きく変わる

お腹の奥の筋肉を使ってグッと凹ませるだけで、ぽっこりお腹が一瞬で薄くなり、姿勢がよくなり、シルエットが若返ります。たったそれだけのことでびっくりするほど印象は変わるので、ぜひ一度、鏡の前で試してみてください。

下腹部の力を抜いて背もたれにもたれかかって座った状態と、お腹をグッと凹ませて背もたれを使わずに座った状態を見比べたら、無防備なお腹を見られることに危機意識が芽生えるかもしれません。ちなみに、ダイエットのビフォー・アフターの写真でもこの手法がよく使われています。

私は、外来診察中、あえて背もたれのない椅子に座っています。背もたれがなければ、当然、背もたれに寄り掛かれないので、姿勢を維持するために常に筋肉を使うことになります。それだけでも、ずいぶんとエネルギーを使うので活動代謝が上がっているはずです。

まずは、「お腹を見られている!」という妄想と、鏡などで自分の姿を見たらグッとお腹を凹ませるという習慣づけからはじめてみましょう。

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