むやみに欲求を刺激してはいけない
しかも、ドーパミンが出ると、摂食中枢が刺激され、「もっと食べよう!」というシグナルが出されてしまうので、止まらなくなってしまう。クッキー1枚、ポテトチップス3枚でやめようと思っていたのに、気づいたら箱ごと、袋ごと食べてしまった……なんてことありませんか。糖質というのは、十二分に満たされるまでほしくなってしまうものなのです。
私も、恥ずかしながら、コーヒーのお供に少しだけと思って買ったアーモンドチョコを気づいたらひと箱食べてしまった、ということがつい近年までありました。
美味しいからこそ食べてしまうのですが、糖質は依存をつくるとわかっているはずの自分でも失敗してしまうのですから、それだけ常習性があるということでしょう。最近は、これまでの反省をもとに、安易に「最初の1個」に手を出さないように気をつけています。つまり、欲求をむやみに刺激しないようにしているのです。
禁煙中のタバコと同じですね。「1本ならいいかな」と思って、飲みの席などで1本吸ってしまうと、それまでの禁煙が台無しになってしまいます。糖質も最初の一口が肝心です。一口、甘いものを食べてしまうと、脳が喜んでもっと欲してしまうということを肝に命じておきましょう!
小腹が空いたらまず水を飲む
そこで、小腹が空いたときに、甘いものに手を伸ばす代わりにおすすめしたいのが、体を動かすことなのです。
「え? お腹が空いたときに運動がいいの?」と不思議に思うかもしれませんが、「いい」理由がちゃんとあります。
ウォーキングなどの運動を行うと、食欲を増やすホルモンである「グレリン」の分泌量が減り、逆に食欲を抑えるホルモンである「ペプチドYY」の分泌量が増えるのです。思えば、学生時代の体育の授業後、給食の際に意外と食欲が減退していたような記憶があります。
1日3回の食事をとって栄養が足りているのであれば、食事と食事の間の中途半端な時間に空腹を感じたときには、まずは水を飲んでちょっと我慢してみること。そして、とりあえず体を動かしてみることです。
空腹を感じたときというのは、「(エネルギーの)備蓄倉庫のシャッターがガラガラと上がり、在庫が運び出されはじめたところ」です。空腹は、体内の備蓄を減らすチャンスと考えるべきなのです。
私は、来院する患者さんには、体を粘土人形に見立てて、こんな風に説明することがあります。
空腹感が今、粘土でつくられた体を少しずつ削り取ってくれようとしているのに、甘いものを食べるということは削り取ってくれている手を止めて、新たな粘土をくっつけるようなものですよ、と。せっかく削り取られようとしているところに、新たな粘土(脂肪)をくっつけるのは嫌ですよね。
ちょっとお腹が空いたなと思ったら、そんな風にイメージしながら、体を動かしてみてください。前向きな気持ちで体を動かせるのではないでしょうか。
そのときに家の中を掃除したり、仕事机を片付けてみたり、掃除ついでに体を動かすこともおすすめです。そうすれば、体とともに家(机)もきれいになって一石二鳥、さらに家族や同僚に好感を持たれたなら一石三鳥です。