絶対に損しない「感情株」へ投資すべし

もちろん、手持ちの現金や通帳のお金が増えるのは、減るよりはよいことでしょう。しかし、先述のとおり、現金を儲けようとする投資はリスクが高くなります。悪い人があなたのお金を騙し取りに来ることもあります。お金に名前は書いていないので、騙し取られた100万円に名前が書いてあったので元の持ち主に戻った、ということはありません。

ところが、「人間の感情」は非常に属人性が高くて、なかなか他の人に騙し取られるということはありません。なので「あの人にはいつもよくしてもらっている」みたいな感情は非常に大事です。

これが簡単にできるのが「ご近所作戦」です。引っ越し先で、近所中にご挨拶としてボックスティッシュを持っていく。近所の若者に暮れ正月に1000円ぐらいのお年玉をあげる、でもいいですし、ニコニコ挨拶をするとか、何か困っていることを手伝ってあげる、でもいいのです。

近所の腰が痛いAさんの荷物を、代わりに運んであげた。そうすると、Aさんはあなたにちょっと心理的な借りができますよね。これを「心理的債務」といいます。逆に言うとあなたはAさんに対する「心理的債権」を持っているわけです。

この「心理的債権‐債務」の関係は、お互いの状況によって値動きしますし、単純に打ち消し合わず持ち合うこともできるので、株のようなものとも言えます。「感情株」とでも呼びましょうか。いろんな人と「感情株」を持ち合うことで、あなたと利害関係がある人がどんどん増えていきます。

ボーナス時の1万円より金欠のときの8000円が大事

「金は裏切らないが、人は裏切る。金しか信用しない」という人もいるかと思いますが、あなたが金しか信用しないから人が裏切るんじゃないですか、とも言えます。いろんな人の「感情株」を持っていると、当然評判や信用は高くなります。反対に、評判が高い人の心理的債務を不履行する人は、「あんなに世話になった人にこんな仕打ちをするなんて、なんてひどいやつだ」ということになって、評判や信用はガタ落ちすることになります。

また、「感情株」(心理的債権)をたくさん持っている人は、ピンチに陥ったときに心理的債務を負っている人が助けてくれます。これは、先述の通り「感情株」は値動きするからです。ピンチのときに心理的債務を返すと、絶好調のときに返すより効率的に返済できるのです。

たとえばあなたが誰かにお金を貸しているとして、あなたのボーナス支給日に10000円返してもらうより、めちゃめちゃ金欠のときに8000円でも返してもらったほうがうれしいですよね。ピンチのときに返してもらう債務は、好調のときに返してもらう債務より高い効果があるのです。ピンチの人を助けてあげると、よりたくさんの「感情株」を買うことが出来ますし、あなたがピンチのときには返してもらえるのです。