BTS株で失敗した人たちが見落としたもの

数日前、韓国で、人気グループBTSが所属する芸能事務所の株が高値で上場した直後に大暴落して、韓国の個人投資家が自らの結婚資金を投じたり、借金してまでBTS株を高値で買ったりして、何億ウォンという含み損を抱えるハメになった、というニュースを読みました。

景気後退
写真=iStock.com/Gearstd
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株式投資が一概に悪いわけではないのですが、素人の投資家があいまいな知識で大儲けしようとするとこうなる、という非常にわかりやすい例です(BTS株は現在下がっているだけで、将来はわかりませんが)。そもそも、現金を投じて、それを即現金に戻して儲けようとするのは、システムが明解なぶん損をしやすいのです。

株を買うにあたってリスクを下げるなら、仕事などの関係で自分が非常に詳しい分野とか、自分がよく利用する応援したい企業の株を中長期的に持つほうが、目先の相場に飛びつくよりもよほど勝算があります。まず、自分が詳しいジャンルやよく行く店ならば、「最近、あの会社はどうも良くない方向に向かっているな」ということを他人より早く察知することができるからです。

そして、好きな会社、応援したい企業の株を買うということはつまり、「応援する気持ちを株を買うことで表す」ということになるわけですが、そもそも、株というのはそういうものですよね。投機的な意味を持ったのは後の話です。

インフルエンサーに踊らされてはいけない

興味もない会社の株を、なんとかさんがブログで上がると書いてたから買い、かんとかさんがYouTubeで下がると言ってたから売る、みたいな雑な方法よりだいぶマシだと思いませんか。だいたい、なんとかさんやかんとかさんはあなたが損したところでお金を返してくれるわけではないのです。あなた自身が、あなたなりの根拠を持てる投資をしましょう。

「応援する気持ちを込めて投資する」を応用すると、もう投資の対象は企業でなくてもよいということになります。「ステイホーム期間中に時間があったので、自分への投資として英語の勉強をした」というような言い方がありますね。

この用法は辞書にも載っており、「比喩的に将来を見込んで金銭を投入すること。」(広辞苑「投資」②)などと書いてありますが、「英語の勉強」でいうと投入したのは「自分の余暇の時間」ですので、元手は金銭でなくてもいいんですね。つまり「将来自分になんらかのいいことがあるのではないかと見込んで、なんらかの自分の持ち物を投じる」のが投資であるということです。