一般的にアメリカの企業では、サクセッション・プランを含めた社員の教育に関して販売管理費の10%を投入するといわれている。しかし、日本のビジネス社会では経営者教育に対する認識はまださほど高くない。ECのクライアントも外資系経営者や2世経営者が圧倒的に多いという。

しかし、M&Aや不祥事による経営陣の交代劇が後を絶たない今日、経営者教育、後継者教育の必要性がもっと問われるようになるのではないだろうか。そもそもトップの不祥事が頻発するのは、経営者教育の不備、不足に由来するともいえなくもない。

慶応大学大学院ビジネススクール教授で、SNAコーチング協会ではマネジメント分野を担当する専任コーチでもある藤井義彦氏はこう語る。

「経営環境が目まぐるしく変化する中で、経営者は日々、戦略を描き、重要事項を決定し、社員をモチベートしていかなければなりません。孤独な悩みを抱えたトップを横から支えてくれるメンター的なコーチがこれからは不可欠になってくる。企業の底力というのは、ECのような機会を活用してトップがいかに経営力を鍛錬するかにかかってくると思います」

スキルとメンタルの両面から経営者をバックアップし、気づきを与え、潜在能力を引き出す。「私のコーチが……」というアメリカのビジネスシーンにありがちな常套句が、いずれ日本でも聞かれるようになるのかもしれない。