「特別指定グローバルテロリスト」に認定された露組織

ザ・ベースの指導者とされるリナルド・ナザロ(Rinaldo Nazzaro)氏は、サンクトペテルブルクを拠点に、組織の幹部と共に若者の勧誘活動などを行っていた。その手法は、暗号アプリを使用した電話会議を通じて候補者に経歴や民族性、過激化の経緯、武器の使用経験について質問し、数回の面接を経て、最終的に有望な候補者を絞り込んでいたという。

ちなみに、米国務省は4月、ロシアン・インペリアル・ムーブメント、および同組織の指導者3人を「特別指定グローバルテロリスト(SDGT)」に指定した(*3)。SDGTとして指定された69組織のうち、白人至上主義組織は同組織が初めてだ。

米陸軍の現役兵士からも逮捕者が

米国内では極右グループの逮捕事例も報告されている。米司法当局は1月、バージニア州リッチモンドで同月20日に開催予定の銃擁護派団体による抗議デモで銃器によるテロを敢行する計画を立てていたとして、ザ・ベースのメンバー3人を逮捕したことを明らかにした。

捜査に当たった連邦捜査局(FBI)によると、3人はインターネット上で暗号を用いてバージニア州の抗議デモへの参加や、ユダヤ系やアフリカ系黒人に対する暴力行為、簡易爆弾の製造方法などについて話し合っていたという。3人のうち1人はアゾフ大隊の軍事訓練に参加するため、ウクライナへの渡航を画策していた疑いが持たれている(*4)

また、米司法当局は6月、米駐留軍部隊を標的とするテロを計画したとして、ケンタッキー州出身の米陸軍兵士を起訴した(*5)。この兵士は、英国を拠点とする白人至上主義組織「9つの角度の順序(O9A)」に属し、同組織ならびに関連組織とされる「レイプワッフェン・ディヴィジョン(RapeWaffen Division)」に対し、所属する部隊に関する機密情報を流したほか、同部隊がトルコへ配備された際、部隊全員を殺戮するテロを計画していた疑いが持たれている。同兵士は2018年に入隊し、2019年にO9Aに所属、ネオナチ的な思想に傾倒していったとされる。