コロナで収入が減少した学生たち
シャボン玉、手形アート、私物を入れるジオキャッシング――。これらの遊びには、0密以外にも共通点がある。お金がほとんどかからないのだ。
「シャボン玉は100均で売っているし、手形アートに使う絵の具は学校の授業で使うからみんなもともと持っています。また、Dazz-フィルムカメラやジオキャッシングのアプリは無料で使えます。カラオケや飲み会と違って、本当にお金がかかりません」
若者が賢く遊ぶようになったと言えるが、背景にはコロナ禍がある。コロナ前後の収入の変化について調査したところ、『減少した』と回答した人が最も多かったのは15~29歳で、41.7%に達した(図表2)。年収別では、『減少した』の回答が最多だったのは年収200~400万円未満で、43.4%だった(図表3)。
「コロナ禍で派遣切りがあったりバイトのシフトに入れなくなり、学生を含めて社会的に弱い層が打撃を受けています。仕事がなくて時間はあるけど、経済的には余裕がない。それがお金のかからない0密遊びにつながったと考えられます」
クルマ離れした若者が「車サプライズ」
お金のかからない0密遊びは他にもある。車のトランク部分にケーキや花、プレゼントなどを置いて友達の誕生日を祝う「車サプライズ」だ。
「海外ドラマでよく見かけるように、若者の間ではサプライズパーティーの文化が根付いています。しかし、コロナ禍で部屋やお店に集まることが難しくなった。そこで車のトランクをバルーンやライトで飾り付け、友達を迎えに行ってお祝いするサプライズが、新たな定番のお祝い方法として定着し始めています」
若者のクルマ離れが長らく指摘されていることを考えると、車を使ったサプライズは意外に思える。コロナで若者の収入が減っているのだから、余計に車は縁遠くなるはずだ。
「若者のクルマ離れの傾向は、いまも全体としては続いています。ただ、コロナで公共交通機関の利用が躊躇われる状況になり、移動手段としての車が再注目されています。若者はなかなか自分で車を購入できないので、サプライズに使うのは、親の車や親の支援で買った車でしょう。コロナで家にいる時間が長くなり、家族の絆が深まったという調査結果もあります。親から車を借りやすくなったことも、車サプライズが流行った遠因かもれません」