11年間、野党勢力はほぼ一貫して縮小再生産の道を歩んでいる

この10年あまりの野党再編の歴史を正式に語れる人はほとんどいないだろう。2009年、国民の熱狂の中で衆院選に圧勝、民主党政権が誕生した時がピークだとすれば、それから11年間、野党勢力はほぼ一貫して「右肩下がり」、縮小再生産の道を歩んでいる。

2012年、民主党政権末期の野田政権下で消費税増税を柱とした「社会保障と税の一体改革」を決断した際、深刻な内部対立が生じ、小沢一郎氏らが離党。「国民の生活が第一」という政党をつくった。同年暮れの衆院選で民主党は57議席という大惨敗。その後、小さな合従連衡は後を絶たなかった。

2016年、「結いの党」や、「維新の党」らが合流して民進党をつくったが、翌17年の衆院選前には小池百合子氏が「希望の党」を旗揚げしたことで同年の衆院選は野党分裂選挙となった。この時に立憲民主党が立ち上がり、衆院選後に国民民主党が結党した。

今回の新「立憲民主党」旗揚げは、10年以上の混迷にピリオドを打ったとは言いがたい。むしろ、混迷が続いていることを国民にさらけ出したと言っていい。

世論調査では退陣する安倍政権の支持率が上昇中

14日の自民党総裁選では菅義偉官房長官の勝利が確実視される。首相に就任すれば早期に衆院解散に踏み切るとの見方が有力だ。ここで新「立憲民主党」は活路を見いだすことができるのか。

常識的には極めて厳しい。最近の各種世論調査では、退陣する安倍政権の支持率は急上昇。それに引っ張られる形で自民党の支持も上がり、事実上の後継者となる菅氏への評価もうなぎ登りだ。9月8、9日に共同通信が行った世論調査で「次の衆院選の比例代表ではどの政党に投票するつもりですか」との質問に対し、自民党と答えた人が48.1%。「立憲民主党と国民民主党などが合流してつくる新党」は15.7%。自民党の約3分の1にとどまっている。

枝野氏は衆院勢力で100人を超える塊をつくることにこだわってきた。これは2009年、民主党が政権奪取する前の衆院勢力も、2012年に自民党が政権奪還する前の衆院勢力も110人台だったため、「3ケタ」が政権交代に向けた発射台になると考えているからだ。

今回の新党の衆院議員は106人。大台には乗った。ただし、09年の民主党、12年の自民党とは、注目度も期待値も比べるべくもないことが現実だ。