人の心を熱狂させるのは「悪」の側面だ

松本健太郎『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』(毎日新聞出版)
松本健太郎『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』(毎日新聞出版)

最後にご紹介したいのが、第13位『人は悪魔に熱狂する』。要約が公開されてからまだ日がたっていないにもかかわらず、ランキング上位に入ったことからも、注目度の高さが伺えます。

従来の経済学では、「神の見えざる手」に代表にされるように、あくまで人間は合理的に行動するものとされていました。しかし実際のところ、人間には合理性に反する煩悩、すなわち「悪」の側面があります。

行動経済学が扱うのは、そういった領域です。例えば消費者のニーズを把握するために、アンケートなどを駆使してデータを収集し、それに基づいて商品開発するのはもはや定石ともいえる手法ですが、消費者ニーズを正しく把握することは意外と難しい。というのも、人の心を熱狂させるのは、アンケートには出てこない人間の「悪」の側面だからです。

消費者行動が多様化する中、「悪」を前提にする行動経済学の重要性はますます増してきています。本書を読めば、行動経済学的なデータや情報の見方が身につくでしょう。

先月第1位だった『昨日も22時に寝たので僕の人生は無敵です』(井上皓史著、小学館)に引き続き、朝活に関する本が月間ランキングの第1位になりました。その他、先月第2位だった『他人のことが気にならなくなる「いい人」のやめ方』(名取芳彦著、リベラル社)も今月第11位と、依然として多くの方に読まれております。来月はどのような本が多く読まれるのか、引き続きチェックしてまいります。

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