なぜ箱根駅伝は2日間11時間の生中継で視聴率25%超なのか

日本が初めて選手を派遣したオリンピックは1912年のストックホルム大会だ。金栗四三が男子マラソンに出場している。その後、1964年の東京オリンピックを契機にカラーテレビが普及。円谷幸吉が銅メダルを獲得した男子マラソンを多くの国民がテレビ視聴した。

ここからマラソンをテレビで見るという文化が発達。1970~80年代には宗兄弟(茂・猛)、瀬古利彦、中山竹通、谷口浩美らが出場するレースは高い人気を誇った。

ランナーひとりを眺めていても好奇心をそそられるが、それが数になり、「競争」の要素が加わると、さらに面白くなっていく。抜きつ抜かれつの急展開を見逃してはならぬと、視聴者はますますテレビにかじりつく。

マラソンの給水所
写真=iStock.com/kanzilyou
※写真はイメージです

日本人にとってのその“最高峰”が箱根駅伝になるだろう。

研ぎ澄まされた肉体と気持ちのすべてを捧げ、区間を走る。走り終えた瞬間に道端に倒れ込む選手もいる。そこからは「自分はどうなってもいい、タスキをつなぐんだ」という献身の気持ちが痛いほど伝わる。自分のためではなく、レースに出場できなかった同じ部の仲間のためにも死力を尽くす。そんな目に見えない連帯感にも視聴者は胸を打たれる。

ランニングのレベルは世界のトップランナーほどではないが、箱根駅伝には日本人の琴線に触れる部分が多いのだ。

正月に開催され、出場できるのは部員同士の激しい競争を勝ち抜いた20歳前後の若者のみ。そうしたサブストーリーも視聴者を惹きつけている。だからこそ、2日間、計約11時間の長丁場の番組でありながらも平均視聴率は毎回25%を超えるのだろう。

箱根駅伝が誕生したのは1920年(大正9年)で、これまで96回の継走が行われてきた。日本テレビの「新春スポーツスペシャル箱根駅伝」は1987年(昭和62年)から生中継を続けている。駅伝文化は日本各地に伝わり、ローカル駅伝を沿道で応援するのを楽しみにしている地元住民も多い。

新型コロナウイルスの影響で中止や延期に追い込まれている大会は少なくないが、参加者だけでなく、視聴者も楽しみにしている大会が開催されることを祈りたい。ランナーの美しい姿を多くの人に見てもらいたいから。

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