イノベーションは「アイデア出し」から生まれる
それに対して、「アイデア出し」の会議は対面のほうが効果的であることがわかったため、その時間は8%ほど増えました。
「アイデア出し」の会議を増やしたことで、トラブル発生時に迅速に対応できるようになったり、イベント集客の新企画が出たことにより観客が増えたり、会議から生み出される価値は増えていきました。
だからこそ、本当に集まって行うべきかどうか、対面式の会議の必要性を見直すべきです。弊社では、この3年間で26社の新規ビジネスの開発に関わり、19件で計62億円の新たな売上を生み出しました。その19件では、どこが起点となっていたのかを、関係者にヒアリングしました。すると、会議室での発言が起点になったのはたったの2件。残り17件は会議室の外で起きていました。そのうち14件は、会議室手前の通路での会話が起点になっていたのです。つまり、会議の前後に他部門のメンバーに対して「今ちょっといい?」と話しかけたのが起点だったわけです。
かしこまって座っていてもアイデアは出ない
この結果から、イノベーションを生み出す“新結合”の起点は会議ではなく「会話」であることがわかりました。会議室に大勢が集まって席に座り、かしこまった状態で斬新なアイデアが出るでしょうか。よくあるのが、上司がメンバーたちに向かって「何か良いアイデアを出せ」と指示して、部下が勇気を出してアイデアを出しても、すぐにその上司が「それは現実的ではない」「それは予算がないからダメ」などと、ことごとく否定していくパターンです。そうなると、メンバーは黙っていたほうが安心だと思って何も発言しなくなります。
カジュアルな会話は、アイデアを出しているときに否定されにくく、一度すべてを聞いてから判断する傾向にあります。会議よりもカジュアルな会話のなかのほうがアイデアは出やすく、その大量のアイデアの中にこそ、質の高いものが含まれているのです。ムダな会議をやめて、メンバー間の会話の機会を増やしましょう。