高校でスピーキングの授業がないのに、入試ではテストがある
【清水】あと、仮に大学入試が変わったとしても、そもそも現状では高校英語のなかにスピーキングの授業がないことも問題です。リスニングのカリキュラムも体系だったものがないので、各自が試行錯誤している感じです。
【三宅】そうですよね。スピーキングの訓練が不十分で、入試にスピーキングを入れるのも受験生はたいへんですね。
【清水】おそらく「授業でライティングを教えているから、それを音に出したらスピーキングになるだろう」と安易に考えているのだと思います。
【三宅】やはり違いますよね。
【清水】違います。統一機関をつくるかつくらないかは別として、子どもたちにスピーキングの力を身につけさせたいなら、スピーキングに特化した授業を1つつくってもいいのではないかと思います。
【三宅】ちなみに生徒さんから「英語をしゃべれるようになりたい」と言われたら、どう対応されてきたのですか?
【清水】そういったケースは何度もありました。基本的に個別対応で、重要構文を丸暗記するような効率的な学習方法を教えたり、放課後にマンツーマン指導をしたりしていました。
【三宅】先生の書かれた書籍を教材にしたり?
【清水】たまに(笑)。私の場合、部活の指導がほとんどなかったので、そういう時間を割くことができたのは幸いでした。
【三宅】指導したくてもできない先生も多いですからね。
【清水】そうなのです。
一斉授業の限界
【清水】大学入試が変わり、スピーキングの授業が新設されるとなっても、今度は一斉授業の限界が出てきます。40人一斉にスピーキングの練習ができるわけがありません。
【三宅】たしかにそうです。
【清水】そもそもそれだけの生徒が同時に一生懸命勉強するような雰囲気を作ること自体、ほぼ不可能です。英会話学校と違って、英語に興味のない子どもたちもたくさんいるわけですから。
【三宅】どのような形が理想ですか?
【清水】これは学校の英語の授業全般に言えることですが、チームティーチングの形で常に授業ができれば、言うことはないと思います。一斉授業も簡単なことを教えるぶんにはそれほど問題はないとは思いますが、レベルが上がってくるにつれて、ついてこられない子が絶対に増えます。そういう子の横に日本人の先生がつけば、しっかりフォローアップすることができるはずです。
そして、より細かいフィードバックが必要なスピーキングに関しては、選択制にして希望する生徒を対象に少人数で行うことも考えられるのではないでしょうか。