一方、九州で古くから温泉地として知られる大分県の湯布院にある旅館関係者にGo To トラベル開始後の状況を聞いたところ、「日頃から、首都圏からの来客は多くないため、東京外しはあまり影響がない」としながらも、「先の水害で、この地域で有名な旅館経営者一家が濁流にのまれるという不幸なニュースが全国に流れた。湯布院の中心地はほぼ大丈夫なのに、由布市の被害と聞いて、キャンセルしてしまった人も多かった」と述べ、「水害からの復活という課題ものしかかり、廃業してしまう旅館さんが出るかもしれない」と下を向く。
還付はいつから? 申請方法は?
Go To トラベルの運用をめぐっては、「東京外し」のほか、一時は「若者や高齢者の団体旅行は適用除外」という方針が俎上に載るなど、ルールを定めるべき国交省の迷走が著しい。
利用者側からみれば、自分が旅行した場合に割引対象になるかどうかが問題となるが、「旅行者向けGo To トラベル事業公式サイト」は7月27日にようやくオープンした。還付申請について、そのサイトで確認したところ、現状では次のようになっている。
・原則として旅行代金を支払った旅行業者等を通して行う。
・具体的な申請方法については、各旅行業者等に相談する。
・自身で宿泊施設に支払いを行った場合は、旅行者が直接、事務局へ給付金の還付申請を行う。
・還付申請先についての詳細は、申請受付開始までに公式サイトにて告知。
※「Go Toトラベル」サイトを参考に筆者まとめ
サイトによると、7月22日以降出発の旅行を申し込んだ利用者が実際の還付申請を行えるのは8月14日以降で、その宛先についても現状では案内を待つのみ、という状況だ。
割引対象となる宿泊先リストが分かりにくい
一方、キャンペーンに参加している事業者の登録は本格的に進んでいる。すでに多くの宿泊機関が承認されており、宿泊先リストも公表されているが、掲載内容が施設の名前(商号)ではなく、オーナーや出資法人の名前で登録されている。
7月30日に入手した「Go To トラベル事業 宿泊事業者情報登録承認リスト」は28日付で1万756者(原文ママ)掲載されており、pdfで110ページに上る膨大なものだ。細かくみていくと、◯◯市、▲▲町といった自治体の名称そのものが登録されていたり(公営宿舎があると予想される)、民宿経営者とみられる個人名があった。
「大手のホテルだったらすぐ見つかるだろう」と思うと、そうでもないらしい。筆者が調べたところ、東京駅近くにある有名ホテルがホテル名ではなく、運営法人名で示されていた。
一般の利用者が「自分が泊まる予定のホテルが登録済みかどうか?」を見分けるのには難度が高い格好になってしまっている。