オシムの言葉「日本だけではなく、常に世界を」
【三宅】現役を引退されるとき、ご自身のブログで、岡田監督を含め、それまでのサッカー人生でお世話になった方々に対する感謝の気持ちを綴られています。私も読ませていただきましたが、非常に感動しました。
【中澤】僕がサッカー選手を長年続けてこれたのは、ひとえに出会いに恵まれたからだと思っています。マリノスの公式ページに上げようかとも思ったのですが、マリノスとは直接関係のない方々への感謝もしっかり書きたかったので、公式ページとは別に書きました。
【三宅】小学校のときにスパルタ指導を受けた顧問の先生への感謝も綴られていますね。
【中澤】もちろんです。実はその先生がクラブチームを作られたので、もしその先生がいなかったら、僕はサッカーをしていません。サッカーと出会わせてくれた恩師です。
【三宅】ほかに印象的だった恩師なり、監督はいますか?
【中澤】日本代表でお世話になったイビチャ・オシム監督ですね。「日本だけではなく、常に世界を意識して練習や試合に臨め」ということをよく言われました。それをきっかけに世界をより意識するようになったので、オシム監督との出会いは世界を見るための出会いだったのかなと思っています。
ベテランを腫物扱いしなかったモンバルエツ監督
【中澤】あとは2015年から3年間、マリノスでお世話になったフランス人のエリク・モンバエルツ監督も印象深かったですね。
実は当初、彼とは結構揉めたのです。なぜかというと、僕のプレーや練習に関して、あれこれ細かいことまで指示してきたからです。
【三宅】当時の中澤さんは大ベテランですよね。
【中澤】30代半ばです。だから最初のうちは「僕はもう若手じゃないんだよ」といった感じでつっぱっていたのですが、ちゃんと話をしてみると、僕の伸びしろを信じて、僕のために一生懸命アドバイスをくれていたことがわかったんです。
【三宅】逆に言えば、ベテランになると特別扱いされることが一般的ということですか?
【中澤】特別どころか、腫れ物扱いされることが多いです(笑)。でもモンバエルツ監督はそういう遠慮を一切せず、なんの裏表もなく、しっかり意見を述べてくれたのです。「マリノスというチームが一歩先に進むためにこういう戦略で戦っているから、君にはこういうプレーをしてほしい」「君からするとすごくチャレンジングなことはわかっているけど、俺はできると信じている」といったことです。
【三宅】ベテランになってからも指導をしてくれる存在は、ありがたいですね。
【中澤】ありがたいですし、あの歳になっても自分の成長を見てくれる監督に出会えたことが嬉しかったですね。実際、監督と出会って守備面はさらに伸びました。