手越会見、危機管理的な評価ポイントとは

まず、手越さんについては、危機の際に世間から大きく評価されたポイントが2点ある。

一つは、記者会見を開き、自ら記者からの質問に答えたことだ。

一般にスキャンダルにあった芸能人は、過剰なバッシングを恐れ、記者会見を開かず、渡部さんのように一切姿を現さなくなるケースが少なくない。

むろん、渡部さんのような不倫によるスキャンダルが起きた場合は、迷惑をかけた妻である佐々木希さんや仕事相手、スポンサーなどの関係者だけに謝罪すればよく、全国民に謝罪する必要はまったくない。

その点で渡部さんは記者会見を開く必要はないとも言える。

だが、これは残念ながら理想論にすぎないだろう。

世間に姿を一切現さないとなると、ネガティブなイメージだけが肥大化し、彼が自身の声で謝罪と釈明をしない限り、メディアは彼を一方的に憶測も含めて叩くケースに陥ってしまうのが実情だ。

一方、手越さんは事務所退所表明後に、自身のYouTubeチャンネルという新たなステージをメディアに指定し、記者会見を開いた。

その質疑応答は2時間に及んだが、そこで答えた内容によって、彼自身の“生の声”が世間に発信されることとなった。

「その話は今回で終わり」と区切りをつけることに成功

会見中、銀座の飲食店に女性を呼び出した件について「コロナをうつされても困るので、ちゃんと(かかっていないか)確認した」と、さも自身の行動がコロナ対策を徹底していたといった趣旨の発言をしていたが、自身がコロナに感染している可能性を考慮していないなど、問題となる発言も少なくなかった。

だが、彼は自身の“生の声”を伝えることで、世間の憶測によるネガティブなイメージをある程度制御することに成功したと言えるだろう。

具体的には「退所は決まっていたことなので、その後の進路に不安があった。自分にとっては不要不急の外出ではなかった」という旨の主張をしている。

その真偽については議論の余地があるが、『週刊文春』が報じた内容に対し、自身の声で「回答」をした点は事実上の沈黙を貫く渡部さんと大きく異る点だ。

さらに、評価できるポイントの2点目として、グループに迷惑をかけたなど自身の非を一部認めたものの、今後のビジョンを話すことで、「その話は今回で終わり」と区切りをつけることに成功した点が挙げられる。