ちょっとやそっとで揺るがない基礎を作る
「基本的なこと」と言っても、その切り口やアプローチは、脳科学など最先端の知見を取り入れたもので、教える立場としても新しい発見ばかりで、目から鱗の連続でした。
クロトンビルではこの「基本的なこと」を、全階層のリーダーシップ研修で徹底するのです。
GEにいたとき、講演や研修などでこの特徴をビルの建設にたとえて話していました。高いビルを立てるときほど、基礎工事もしっかりと行わなければなりません。基礎工事で手抜きすれば、そのビルは砂上の楼閣のごとく、地震のような衝撃に耐えられず崩れてしまいます。
リーダーシップ開発も同じです。リーダーとして大きく成長してもらうためには、その基礎を徹底的に深掘りしてたたき込むことが肝要です。そうすればちょっとやそっとの環境変化に動じることなく、人や組織をリードすることができるようになります。
組織の「共通言語」を習得させる
リーダーシップの研修体系は、大きく2種類の研修領域に分類することができます。一つは、いわゆるリーダーシップそのものを学ぶ(=開発する)領域と、もう一つはリーダーシップを発揮するために必要なスキルを学ぶ(=習得する)領域です。このうち、後者の「スキル研修」は選抜研修ではなく、自分が希望した研修に上司の許可を得て参加することができます。
このリーダーシップに関連するスキル研修でも、基本的なテーマの研修がほとんどです。
スキル研修の中でとくに、「プレゼンテーション研修」、「ファシリテーション研修」そして「CAP」(変革促進プロセス)の3つは、GEにおける共通言語であると言うことができます。GEに入社した際に行うオリエンテーションでも、早期にこれらの研修に参加するよう推奨しています。
この3つの研修を多くの従業員が受講することによって、国境を越えたコミュニケーションやプロジェクトを円滑に行うことができるようになっています。
つまり「会議の進め方」や「プレゼンの体裁や方法」、「変革の進め方」などが定型化あるいは見える化されていますので、非常に意思の疎通がしやすくなるのです。