誰とでも取り替え可能な人材にならないための戦略的な読書法

まあ、みんながそこまですごくなくても大丈夫です。この6つの他にもスペシャリティはいろいろありますし、特に人間相手のサービス業では、人の存在価値は変わらず大きいでしょう。成功した④⑤の下で、しっかり働く人材も必須です。

でももちろん、誰とでも取り替え可能な大量に存在するコモディティ人材になってしまっては、話になりません。自分をこれまでより少しだけ、取り替え困難で、少数しか存在しない価値ある存在にしていくことが、必要です。つまりそれは、自身をオリジナリティある、時間効率の高い人間に高めていくということなのです。

それがきっと、みなさんの楽しい人生、変化に強く競争力のある(※)キャリアにつながります。

※最近はレジリエント(resilient)とも表現する。弾性や復元・回復力があること

読書がそれを助けます。「何を」「いつ」「どう」読むかの工夫によって、自身のオリジナリティを育て、維持することができます。情報収集や知識会得の時間効率が上がります。この「複雑で困難に満ちた」世の中が、新しいものに見える視点や視座、視力をみなさんにきっと与えてくれます。

読書ポートフォリオで「何を」読むのか時間配分する

『読書家なのに話がつまらない人』に欠けている5つの視点」と「ビジネス書好きなのに仕事が非効率な人に欠けている本の読み方」で紹介してきたのは、「どう」読むのかの工夫についてでした。(それぞれ「5つの視点」、「3つの技法」)

今回ご紹介するのが、「何を」「いつ」読むのかについての方法論「読書ポートフォリオ」です。

壁面の本棚
筆者提供

ポートフォリオとはもともと、紙の書類(や現金)を入れるジャバラ式の容れ物や平カバン。書類を取引先別とか、時系列で分類して、入れていきます。そこから転じて、その集められた資料や情報そのものを意味するようにもなりました。

資産が1000万円あったなら、1割は手元に現金で、5割は手堅く債券投資し、残り4割はリスクが大きい(そしてリターンも大きいかもしれない)株式投資をする。そういった分類・配分がされたものが、資産運用ポートフォリオと呼ばれます。

ポートフォリオを組む目的は、リスクとリターンのバランスを自分なりに取ることです。でもひとつの金融商品だけでそれは達せされないので、いくつかのものを組み合わせていくわけです。

読書も同じ。目的は、自分のオリジナリティを時間効率よく構築することです。でも1種類の本だけではそれは達せられないので、自分なりの分類・配分をしていかなくてはなりません。そのポートフォリオを意識して組みましょう。

軸①【ビジネス系】(今の仕事)の本か、【非ビジネス系】(趣味や将来の仕事)の本か
軸②【基礎】か【応用】や【新奇】か

例えば年間100冊読める時間があるのなら、5割はビジネス系に、残り5割は非ビジネス系に振り分けましょう。私の場合、ビジネス系の中では、基礎に2割、応用に8割。非ビジネス系の中では基礎ジャンルに7割、新奇ジャンルに3割といった感じです。

もちろんこれも、人次第。自分のオリジナリティを時間効率よく構築するために、どんな割合がベストなのか、試しながら決めましょう。

読書ポートフォリオ・マトリクス