では、イギリスにあるパブが政府の号令とともに一斉に営業を再開するかと言えば、答えはノーだ。これは、各店舗の面積や構造によって、いわゆるソーシャルディスタンスの確保ができない、あるいは、距離確保のためにテーブルや椅子を減らした結果「対応客数の減少で、運営コストが出ない」といった問題があるからだ。そうした中、パブ再開日と目されている7月4日に「再開が難しい」と訴えているパブは全体の6割以上に達している。
「2メートルのソーシャルディスタンス」は長すぎる?
ちなみに、イギリス政府が提唱する「2メートルのソーシャルディスタンス」が長すぎる、という意見もある。実は世界保健機関(WHO)の推奨は1メートルで、2メートルを標榜するのはイギリスのほか、欧州では他にスイスくらいで、その他の国は1~1.5メートルにとどまる。
そうした背景もあり「せめて、政府の提唱を1メートルに削ってくれれば……」と訴える声も聞かれる。そうすれば、各テーブルの距離確保が容易となり、外すべき椅子の数も減らせるからだ。
ただ、イギリス国民に対する調査によると「他人との距離を2メートルとるよう心がけている」との回答が98%にも達しており、第2波への懸念と合わせ、この時期に「ソーシャルディスタンス」が短くなることは考えにくい。
これまで述べたように、イギリスのパブは少なくないハードルは残っているものの、着実に復活への道を歩んでいる。
「再開の日には、世界最大級のパーティーをやる」と豪語するパブも出てきた。まもなく訪れる再開の日。果たしてどんな騒ぎになるのだろうか。