親に教師代わりをさせる〈家庭学習〉が、根本的にNGなワケ

それでもまだ〈家庭学習〉が任意ならいい。「できないなら、それでも大丈夫。学校でやりますから」ならば。しかし今回、家庭学習の難しさを学校に伝えたところ、「宿題範囲は家庭で自宅学習が済んでいると見なし、学校再開後も十分には復習できません」と言われた家庭もある。「家庭の取り組み次第で学力差が出てしまうので、しっかりと勉強してきてくださいね」と、親切なんだか無責任なんだかわからないアドバイスをもらった人もある。

実際に文部科学省も、新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休校中の特別措置として、「学校が課した家庭学習の実施状況が一定の要件を満たす場合において、特例的に、学校の再開後等に、当該内容を再度学校における対面指導で取り扱わないこととすることができる」としている。もっとも、「学習の定着が不十分である一部の児童生徒」においては、「別途、個別に補習を実施すること」との文言が付け加えられているが、その場合でも「追加の家庭学習を適切に課すなどの必要な措置を講じること」も可能だとしている。またしても〈家庭学習〉という名の大量の追加宿題を子どもが持ち帰ってきかねない。

学校が振りかざす全児童への平等は本当に平等か

そこまで〈対面授業〉を行う時間がないならば、なぜ長い休校期間に、学校側はあらゆる手段を講じて〈オンライン授業〉を進めようとしてこなかったのだろう。実は今回、私は「YouTubeなど使うして短時間授業を行ってほしい」ということも頼んでみた。だが、返答は「IT環境が整っていないご家庭もあるので、教育の不平等になる」というものだった。同様の嘆願を行ったほかのママさんには、「YouTubeを見せたがらないご家庭もあるので」「教師の顔を出すと悪用される恐れもあるので」「教師がIT機器を使うのが苦手なので」といった返答があったとの情報も集まってきた。いったいいつの時代の話なのか、理解に苦しむ。

そもそも〈不平等〉を気にするならば、家庭環境で学力差が生じることこそ一番の〈不平等〉である。必要ならば国や自治体からタブレットやWi-Fiルーターの貸与などの措置も講じられているのだから。