日本は授業でのデジタル利用時間が最下位

国立教育政策研究所が昨年末に発表した「OECD(経済協力開発機構)生徒の学習到達度調査(PISA)~2018年調査補足資料~」により、日本の学校は授業でデジタル機器を利用する時間が(OECD)内で最下位であることがわかっている。その一方で、家庭で娯楽目的に使用する率は著しく高く、OECD内でトップ。

デジタル機器を使い「毎日、またはほぼ毎日1人用ゲームで遊ぶ」と答えた子どもは47.7%(OECD平均26.7%)で、「ほぼ毎日ネット上でチャットをする」と答えた子どもは87.4%(OECD平均67.3%)にも及ぶ。つまり日本の子どもたちは、デジタル技術を遊びには使うが、学びに活用する術はほとんど教わっていないのだ。そしてその状況は、このコロナ禍でもほとんど前進していない。

長い長い春休み状態か、大量の紙の宿題に泣いているか

休校期間中の学校の取り組みは、以下のように大別される。

A、オンライン授業など新しい形態を模索し、在宅授業の可能性を探っている学校。
B、連絡も課題もほとんどなく、ほぼ放置状態の学校。
C、ひたすら紙の宿題を山盛り出すことで、自宅学習が進んでいるとみなす学校。
D、9月入学の可能性が出た途端、音信不通になった学校。

公立校のなかにも、もちろんAタイプは存在する。同時双方向のオンライン授業を使ったり、YouTubeなどで授業を試みたりする学校だ。だが、圧倒的大多数は「新しい授業様式」への移行ができず、いまだ昭和時代の感覚で大量の紙のドリルを配布している。

自粛期間中、私たちの「働き方」は大きく変容してきた。オフィスワーカーは在宅勤務の道を模索し、飲食業界はテイクアウト事業を工夫してきた。各種習い事やジムなどもオンラインで指導などの道を切り開き、民間塾も無料でオンライン授業を公開するなど、学びの種類も多様化している。そんななかで、公立学校だけがいまだ〈対面授業〉にこだわり、宿題だけを出し続けている様子は、自らの存在意義を放棄しているかのようにすら見えてしまう。