新型コロナウイルスの影響による休校が多くの地域で続いている。そんな中、岐阜県は4月20日より、県内の全高校でオンライン授業を始めた。岐阜県の公立高校教諭の斉藤ひでみ氏は「休校が続く中での選択肢としては有効だ。だが、十分ではない」という――。
自宅でビデオオンラインレッスンを勉強する
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全ての高校で始まった授業のリアルタイム配信

文部科学省が4月21日に公表した調査結果によると、同時双方向型のオンライン指導をしている学校は、全国で5%程度に留まっています。オンライン授業の推進を阻む要因は、大きく分けて2つあると考えています。

第一に、オンライン授業が現時点では、年間に行うべき「授業時数」として認定されていないことです。文科省は要件を満たせば、オンラインによる学びの成果を評価に加えることができるとしますが、オンライン授業を配信しただけで正式な授業を行ったとみなせるわけではないということです。

第二に、オンライン授業を実施する環境が十分でないことです。学校側のWi-Fi環境等もそうですが、児童生徒の側にも、自宅で授業を受けるための通信設備や端末が必要です。授業を受ける環境が整っていない家庭への支援が見通せないと、公教育としてオンライン授業を進めることは難しいでしょう。

こうした課題はあるものの、休校が続く中、子どもに十分な学びを提供できていない状況は、誰もが認識しています。目下、9月入学や分散登校といった議論も行われていますが、それで全てが解決するわけでもありません。児童生徒も保護者も不安が膨らんでいると思いますし、私たち教師にとっても、なにもできない現状は歯がゆいのです。

そんな中、私が勤める岐阜県では、全ての高校でリアルタイムのオンライン授業の配信をはじめました。