改正案の特例規定は三権分立の均衡を崩しかねない
5月19日付の読売新聞の社説はこう指摘する。
「改正案は、国家公務員の定年を65歳に引き上げる法案と一括で国会に提出された。少子高齢化が進む中、意欲のある人が長く働ける環境を整える観点から、検察官の定年を63歳から65歳に引き上げること自体は妥当である」
「問題は、内閣が必要と判断した場合、検事総長や検事長ら幹部の定年を最長で3年延長できる特例規定が盛り込まれたことだ」
前述したように、ときの政権の判断で検察トップの定年を引き延ばして政権が検察を支配するのは、もはや民主主義とはいえまい。
「検察は行政組織ではあるが、他の省庁と異なり、起訴権限を原則独占するなど、準司法的な役割を担う。時には政界捜査にも切り込む。このため、裁判官に準じた強い身分保障が認められている」
組織上、検察は内閣の下に置かれるが、読売社説が指摘するようにその立場は司法にかなり近い。改正案の特例規定は三権分立の均衡を崩しかねない。
検察にとって大切なのは「独立性」の維持だ
「総長らの任命権は内閣にあるものの、幹部の人事について、歴代内閣は法務・検察全体の意思を尊重してきた。政治からの影響が排除され、検察人事の自律性が保たれてきたと言える」
さらに読売社説はこう主張する。
「検察の独立性を守るには、改正案の見直しは避けられまい。特例規定は削除すべきではないか」
沙鴎一歩は読売社説のこの主張に賛成である。検察にとって大切なのは「独立性」の維持だ。問題の特例規定の削除は必須である。