オンライン証券の口座開設数伸びる

日銀はETF買いを通じて、日本株に対する国内最大の買い手となっているため、3月が買い越しであることは想像に容易たやすいですが、実は、国内で自粛中の個人投資家も日本株を支えていることになります。

しかし、丁寧なフォローを行う大和証券やSMBC日興証券など、対面での接客が強みである証券会社はリモートワークの移行によって、電話やオンラインでの商品営業には苦戦しています。投資信託は購入の際に、説明事項が多くリモートでの販売が難しくなっているのです。そんな中、店舗や営業員を持たないネット証券に、もともと投資に興味を持っていた新規の層が、相場下落をきっかけに集まってきています。日経新聞によると、「ネット5社合計の3月の新規口座開設数はコロナウイルスの感染拡大前の1月に比べ2.2倍の31万口座に上っており、楽天証券に関しては、新規口座開設数が16万4011口座と空前の水準になった」と報じています。コロナショックでの急落を、買いのチャンスとみた個人がいかに多かったかを示しています

トイレでトレードしていたビジネスパーソンが昼間に堂々と株取引

さて、「サラリーマンは株取引を会社のトイレでコッソリしている」などと言われています。これは、株式市場は「ザラ場」と呼ばれる9時~11時半、12時半~15時の時間にオープンしていますが、一般的な会社員はその時間は仕事の最中なので、トイレの個室などに隠れてスマホで取り引きをしている会社員がいることからそのように言われています。このザラ場ですが、特に9時から10時は値動きが大きいのでトレードのチャンスです。が、電車移動や会議などで多くのビジネスパーソンは株取引などしている余裕はやはりないでしょう。

それが、強制的に在宅ワークとなったことで、業務時間中に堂々とスマホや机の上でPCを開いて株取引ができる環境が整ったのです。さらに、日経平均株価はPBR(株価純資産倍率)が1倍割れにまで下落し、今まで、高くて手を出しにくかった有望株がバーゲンセール状態になりました。仕込まずにはいられないサラリーマンが多かったのです。それに加えて、新規の口座開設数の増加は、株価の下落ニュースを耳にし、自粛中に今まで、興味のあった株式投資を始めようと、口座開設を行った人が多かったのです。日経平均株価を買い支えたのは、日銀だけではなく、自粛中に家にこもっていた日本国民が支えていたことになります。