日本の死亡率の低さに海外投資家が注目

さらには、新型コロナウイルスによる死亡率が、欧米に比べて圧倒的に日本が低いことも海外の投資家には注目されています。たとえば経済学者の竹中平蔵氏は『プレジデント』のインタビューで、日経平均株価が一時期の1万6000円台から回復していることについて「日本の感染率や死亡率が世界水準と比べて低いことに対する安心感の表れの可能性」と分析しています。

各国が都市のロックダウン(封鎖)を踏み切るなかで、日本はあくまでも法律的に許されている“外出自粛の要請”という形で感染拡大を防ごうとしました。その中で医療関係者や日本国民一人ひとりの努力の結果、日本での新型コロナウイルスの感染者数は収束傾向に今のところあります。もちろん、今後第2波が訪れる可能性も十分考えられ、気を抜いてはいけませんが、海外では経済がストップしてしまったことへの市民の不満が爆発し、暴動に発展するケースも出ています。竹中氏は「一人ひとり元気で働くことが経済の源で、仮にこのまま死者数を抑え続けることができれば、日本の経済は比較的明るいです」とも話しています。

相場格言「高い所から落とせば、死んだ猫でも跳ね返る」

その一方、海外投資家の動向を見てみると、3月は2兆1981億円、4月は8097億円の売り込しとなっています。過去の相場を見ても、海外投資家が買い越しに転じてようやく、相場が底入れするケースが多いため、現状の動きには注意が必要です。個人投資家と海外投資家の売り越しと買い越し額が、週次レベルで完全に逆になっている状況です。特にコロナウイルスによる株価下落が深刻になるにつれて海外投資家が株式を手放す一方で、個人投資家については株価の下落に呼応するかのごとく買い越し額が増えています。海外投資家の買いが戻って来ることで、本格的に相場が上場局面に入る可能性が高く、どのタイミングで彼らが戻ってくるのかがポイントになってくるでしょう。

ウォール街に「dead cat bounce」というイメージするだけで、気持ち悪い格言があります。「高い所から落とせば、死んだ猫でも跳ね返る」という意味で、急激な下落相場で、取り立てて買い材料がないにもかかわらず短期的に株価が回復するような場面を指します。いまが単なる、「意思のない」リバウンドではないことを私たちは確かめる必要がありそうです。