しかし、客単価は高くなるが、配送費がかかる…

そこで、ピエロのキャラクターで有名なロナルドを設定、テレビ広告に注力。1970年代には、おもちゃとのセット販売であるハッピーセットの販売を開始。現在でも470円と、通常の玩具と比較しても廉価で買いやすい価格設定です。加えて、プレイランドと称される子供の遊び場を備えた店舗も多数あり、子供のニーズを捕らえています。これらのマーケティング施策がコロナ禍でも生き、子供が家にいる状況下において、デリバリーする食事の候補に選ばれる結果につながっているのです。

デリバリー需要が伸びると、配送費がかかるため、販売単価を高めに設定せざるを得ない事情があります。

Uber Eatsでは、店側が注文総額の35%を支払うことになっています。また、自社配送だとしても、1件当り往復30分とすれば、アルバイト時給の半分の500円程度のコストがかかることになります。その結果、販売単価を上げなければ企業としては利益を残すことができません。

営業利益率の悪化で減益

実際、ハッピーセットの店頭価格は470円に対して、自社配送またはUber Eatsでは510円の8.5%増、ビッグマックセットの店頭価格690円に対してデリバリーでは750円と8.6%増です。さらに、自社配送の場合は、お届け料として300円の請求が加わる他、税込1500円以上の注文から受付となっています。Uber Eatsも数百円の配送料が別途かかります。顧客心理としても、一度の注文でかかる配送費は一定であるならば、まとめて人数分を注文したくなります。

これらデリバリーに伴う値上げや注文額の増加が客単価を押し上げています。その値上げで吸収しきれない配送コスト負担が、営業利益率の悪化という形で反映され、今期は増収減益となっています。

以上のことから、他社と比較して、マクドナルドはデリバリーやテイクアウトで成功している企業と言えます。実際、マクドナルドでは店内飲食の他、テイクアウト、ドライブ・スルー、自社配送、Uber Eatsとさまざまな店外飲食のチャネルを用意しています。なぜ、マクドナルドは店外飲食に強いのか、その答えは歴史から伺い知ることができます。