あなたの下ネタ、不要不急です

男性同士がカジュアルに話している「下ネタ」も、ひとたび女性に向けると凶器になることがある。

大島さんは周囲に女性のいる場での「下ネタ」についてもこう語っている。

「男性からすると1回目の下ネタ発言でも、女性からすると、これまでに100万回言われてきた下ネタだったりするんです。そしたらやっぱりうんざりしますよね。男同士の飲み会で言い合っているような下ネタを職場で言うと、『この人、女性のいる場でもそういうことを言うんだ』って呆れられてしまうんです」

男性同士のコミュニティでは「下ネタ」がひとつのコミュニケーションツールになっているケースもある。「男性同士で盛り上がるだけならいいじゃないか」と思う人もいるかもしれないが、男性のなかにも下ネタが苦手だという人は意外に多い。

少なくとも職場でのコミュニケーションにおいて「下ネタ」がどうしても必要な場面は存在しない。徹底的に避けておくのが無難だろう。「下ネタ」以外で場を和ませたり、相手との距離を縮めたりできる話題をチェックしておくことが必要だ。

「下ネタに限らず、会話の際にはものごとを多角的に考え、受け手の立場を想像することが大切です。男性でも女性でも、人によってそれぞれ育った環境や価値観は違うので、さまざまな角度からものを考えて発言すれば、コミュニケーションのすれ違いも減らせるはずです」

また、特に管理職などの立場の強い男性が失敗しがちなのが、相手の話に対して否定から入ってしまうこと。たとえ相手がひと回り以上も年下の部下でも、ひとこと目から「いや、でも~」「それは違うんじゃないかな」と返してしまうと、信頼関係を築くのが難しくなってしまう。話の伝え方が大事なのはもちろん、話の「聞き方」も重要だ。

「否定しがちな男性って、たぶん否定から入る会話のパターンに慣れちゃっているんだと思います。僕も飲み屋のカウンターで隣に座った50代の男性と世間話をしていたら、全部『いや、それは違うね』って返されてうんざりしたこともあります。否定されると誰だってイラッとくるし、納得させたくなってくるから反論するじゃないですか。そうやって一応は会話が続いていくので、どこかで『こうすれば会話が弾むんだ』って勘違いしちゃうんだと思います」

「最初に肯定してしまうと話が回らなくなってしまう」という不安がある人ほど、相手の話をよく聞かずに否定してしまいがちだ。かくいう私もつい、部下や後輩の話をさえぎって「それは違うよ」と返してしまうことがある。しかし、「否定→反論」の会話に慣れてしまうと、一歩間違えればパワハラの火種にもなりかねない。