厚労省「医療従事者への理解と応援を」

厚労省は5月1日、〈新型コロナウイルス感染症に立ち向かっている医療従事者へのご理解と応援をお願いします〉と題する報道資料を発表した。

〈医師や看護師、臨床検査技師、薬剤師といったすべての医療従事者は、国民の命を守るため、日々懸命に新型コロナウイルス感染症に立ち向かっていますが、残念なことに、医療従事者がタクシーへの乗車を拒否されたり、そのお子さんが保育園から通園を断られたりするケースがみられています。これらのような「不当な偏見」や「差別」は許されないものです。国民の皆さま一人一人が正しく行動していただくことが、医療従事者に対する応援となります〉

そうした意図をもとに、厚労省は意識啓発のポスターを作成。そこにはこんな文言がある。

〈医療従事者が乗車拒否をされたり、そのお子さんが通園を断られたり。そんな風評被害が起こっています。

感染が怖いから……。でも、それは医療従事者も同じ。それでもみんなの命を守るため、新型コロナウイルスと戦ってくれている人々に、みんなで感謝とエールを送れる社会でありたいですね〉

コロナ差別が起きるようでは、成熟した社会とは言えない

日本の新型コロナ対応は初期のクラスタ追跡が功を奏した面もある。だが、不幸にも名指しでクラスタ認定されてしまった店舗や業種に対しての風評被害は許されてはならない。

また、厚労省の通達が物語っているように、最前線で新型コロナと戦っている医療関係者に偏見を持つ、差別するなどというのは愚の骨頂だろう。院内感染や「感染高リスクの職業」などが報じられることによって、「やはり医療関係者は感染しやすいんだ」とばかりに差別が起きるようでは、成熟した社会とは言えない。

ウイルスは感染する宿主(人)を選ばない。こうした情報は、あくまでもその職業に従事する人と顧客が、「より防疫を意識すべき職業や場所」であることを知るためにのみ、用いられるべきである。