だが、冒頭の女性はこういう。

「日本人はもともと手先が器用で、小さなものをコツコツ作るのが得意です。実質的な効果がどれだけあるのか、ということよりも、周囲に迷惑をかけず、少しでもお互いが安心できるように、エチケットとして布マスクを作って、それをつけている人が多いのではないでしょうか。

それに、繊細でかわいいデザインにすれば、自分だけでなく、誰かの心を和ませる効果もある。そういう姿はとてもほほえましい。日本人は気づかないかもしれませんが、日本の生活の質の高さが感じられます」

「世界で日本だけではないでしょうか」

この女性によると、もとはといえば、中国が発端で日本はマスク不足に陥ってしまった。そのため、日本のドラッグストアの前に並ぶ人の列をネットで見るたびに心苦しく思っていたという。だが、非常時になっても、日本では果物の皮とか、ペットボトルをかぶる人が1人もいないことに驚き、手作りマスクという発想にも感激しているという。

「日本人女性が作った手作りマスクを見ると、『日本人らしい匠の精神』が発揮されていると思います。欧米を見ても、東南アジアを見ても、手作りマスクの輪がこんなに広がっている国は一つもない。日本人にとってはごく自然に、そして、やむを得ず始めたことでしょうが、こういうことができるのは、世界で日本だけではないでしょうか」

苦肉の策でやっていることとはいえ、海外からはこのように見えているのだと聞き、逆にこちらのほうが驚かされ、うれしく思った。

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