なぜアップルは世界に冠たるブランドになったのか。アップルジャパンでマーケティングコミュニケーションを担った河南順一氏は、「スティーブ・ジョブズは、『最高のもの』を作ることに全身全霊で打ち込み、共に仕事をする人間にも同じ姿勢を求めた。そのために必要だったのは、3つのポイントだった」と分析する――。

※本稿は、河南順一『Think Disruption アップルで学んだ「破壊的イノベーション」の再現性』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

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なりゆきや棚ぼたで革新は生まれない

スティーブ・ジョブズは、「最高のもの」を作ることに対して自ら全身全霊で打ち込み、共に仕事をする人間にも同じ姿勢を求めました。自分たちが作る最高のものに大義を見いだし、フォーカスし、使命感で融合しなければ、企業や組織がイノベーションを起こすことはできません。なりゆきや棚ぼたでは、革新は生まれないのです。

スティーブは筋金入りのディスラプターとして、イノベーティブなものの創造に全精力を使っている人間に、容赦なく何度もNOを突きつけることを信念としていました。そのためか、本や映画でスティーブは独善的な人物として描かれることが多いようです。

たしかにスティーブの執念ともとれる熱情はエキセントリックに見えます。しかし、彼の強い想いと信念が、不安や恐れで及び腰になる私たちに、自信を持って進むよう力強く背中を押してくれるのです。スティーブは決して途中で投げ出すことをしないからです。