医師・看護師などのOBを募集して人員の補充を

一方で、指定医療機関に勤める友人が私に求めてきたことは、宿泊環境だ。どんなに気をつけていても、自分が感染するリスクはある。自分が感染していれば、家族にうつすリスクもある。電車通勤もしなければならない。そういった理由で家に帰れない、帰りたくない医療従事者も増えているのだ。ではどうしていたかと聞けば、仮眠室に泊まったり、駐車場に停めた車の中で寝ていたりするようだ。これでは疲れもとれない。疲れは免疫力を下げる。免疫力が下がると感染リスクは上がる。

このような声は都民ファーストの会にも多く届いており、「新型コロナウイルス感染症対策特別広報チーム」で検討された。宿泊施設の提供までは無理でも、せめてホテル代をもつことはできないか。すでに自腹で払ってもらっている分も、さかのぼって精算できないか。医師・看護師だけでなく、事務員も対象にできないか。このたびの補正予算で6億円の予算がついた。

その他、危険手当を支給すること、子どもや介護が必要な家族がいる場合にはベビーシッターや介護スタッフを派遣することによるケア。医師・看護師などのOBを募集して人員の補充もしたいところ。やるべきことはたくさんある。もちろん、新型コロナ以外の一般・救急医療も維持していかなければならない。医師会との連携も欠かせない。

医療従事者を守ることが都民を守ることだ

ウイルスとの闘いが始まってから3カ月がたとうとしている。現場の医療従事者の疲れもピークに達しているだろう。特に最前線である指定医療機関への負荷は、少しでも減らしていかなくてはならない。そこで東京都は4月16日、冒頭に触れた感染症法・医療法に基づく入院ルールを緩和した。陽性者のうち無症状から軽症の患者については直ちに入院せず、自宅かホテルでの療養が可能となったことだ。

退院のハードルも課題だ。現在はPCR検査で2回連続、陰性と判定されないと退院できないことになっている。それまでにかかる期間は平均20日。無症状であっても9日かかるとされている。すでに軽快し、ピンピンしている患者も退院できずにいることが、現場の負担を増やしている。退院のための要件を緩和することも急ぎたい。

都民の命を最前線で守っているのは医療従事者だ。裏を返せば、医療従事者を守ることが都民を守ることになる。そのためには医療従事者を手厚くケアし、存分に治療にあたってもらえる環境を整えなくてはならない。あらためて、最前線で闘っている医療従事者に感謝と敬意を表するともに、ハード面からソフト面まで、できるサポートはすべてしていく決意だ。

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