ハイリスク層に配慮しつつ経済を回し、集団免疫の獲得を目指せ
もちろん集団免疫論であっても、死者をどんどん出してもいいというものではなく、弱者は守らなければなりません。
ですから、社会経済活動をある程度容認するにしても、きっちりと対策を講じてやる、ということになります。しかし、仮に感染者が出たとしても、なんでもかんでも人と人との接触を断つということはせずに、とにかく医療崩壊が生じないレベルに感染者数を抑えればいいという方向性です。
つまり無症状者・軽症者を入院させず、医療機関の力を蓄えて、重症者にきっちりと対応でればいい、ということがここでの目標になります。
さらに発展させて、「高齢者・基礎疾患者などのハイリスク者のみ隔離する=社会経済活動を控えてもらう」という方法も論じられます。その点、○○さんの言うようにどこかの安全地帯に移ってもらうというのは一つの手でしょうが、今の日本には数千万人の高齢者などのハイリスク者に対して安全を提供できる地域・土地がありません。ゆえにそのようなハイリスク者には、自己防衛のために自宅に閉じこもってもらうことを求めるというのが現実的な手法になると思います。
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他方、元気な若者たちは普通に社会経済活動を行い、国民の生活を支えてもらう。それと並んで医療崩壊が生じない範囲で感染を徐々に広げ、みんなで免疫を付けてもらう。人口の6割が免疫を持てば集団免疫獲得と言われています。日本においては2、3年くらいかかると言われています。薬やワクチンが開発されれば、その時点でもう安心ですが、その間、ハイリスク者には自宅に閉じこもってもらうことを求めることになります。
(略)
命を守ることにも社会的コストを考えるのが政治です。命の守り方として、全面的な社会経済活動の抑制をするのか、必要な範囲での抑制にとどめるべきか。前者には財政破綻のリスクがあり、後者には命を犠牲にするリスクがある。
どちらに進むにしても大きなリスクがあり、いずれかを覚悟して決めるのが政治だと思います。
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(ここまでリード文を除き約2800字、メールマガジン全文は約1万9000字です)
※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.196(4月21日配信)の本論を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【新型コロナ緊急事態】財政破綻か死者容認か……日本の政治家は「究極の選択」を引き受ける覚悟を示せ》特集です。