「日銀短観」3月調査も目を覆いたくなるほど大きく落ち込む

3カ月に一度、企業の景況感を調査する「日銀短観」についても触れておきましょう。4月1日に発表された3月調査を見ると、こちらも大きく落ち込む結果となっています。景気が「良い」と答えた企業のパーセンテージから「悪い」と答えたパーセンテージを引くもので、「0」が良いか悪いかの境目になります。

日銀短観

大手メディアなどでしばしば話題となる「大企業・製造業」の数字は、2017年12月調査では、「プラス25」でした。「どちらでもない」という回答もあるため、この「プラス25」はかなり良い数字です。当時の景況感は良かったのです。これは、先に説明した景気ウォッチャー調査の2018年初頭の頃と、感覚的には一致していたわけです。

それが、昨年末の12月調査では「0」まで落ちていました。消費税増税もあり、ウイルス騒動が起こる前から、大企業・製造業の景況感は落ちていたわけです。この「0」という数字は6年7カ月ぶりのものでしたが、それが2020年3月調査では、「マイナス8」まで落ちたわけです。

そして、驚くべきは、これまで比較的堅調だった大企業・非製造業は2019年12月調査では比較的好調な「プラス20」だったのが、3月調査では辛うじてプラスではあるものの、「8」まで一気に12ポイント落ちました。これも景気ウォッチャー調査と符合します。

そして、中小企業を見ると、製造業はもともとマイナスだったのが3月調査ではさらに落ち込み「マイナス15」に、非製造業もとうとう「マイナス1」に沈みました。

大企業、中小企業ともに景況感は大きく落ちているというのが現状です。

米国の落ち込みはさらに深刻

米国ではニューヨークを中心に感染爆発が起こっています。感染者数は53万人に迫り、死者数も2万人を超えました(4月11日現在)。もうこうなると経済どころではありません。

トランプ大統領はリーマンショックを超える経済対策を打ち出していますが、経済がどこで下げ止まるかは不明です。

世界中を驚かせたのは、4月3日(通常、月の第一金曜日)に発表された「雇用に関する統計」です。「失業率」や「非農業部門雇用増減数」がわかるため、世界中のエコノミストたちが注目しています。とくに、「非農業部門雇用増減数」は米国経済のリアルタイムでの状況に敏感に反応するので非常に重要です。

雇用に関する統計

図表4をご覧いただきたいのですが、この3月の数字はなんと「マイナス70万人」です。米国の経済が順調なら、だいたいこの数字は毎月「プラス15万~20万人」です。図表には2014年から2019年までの年間での増加数も載せましたが、年に200万人から300万人の増加で、今年に入っても、1月、2月は各月20万人以上の増加でした。つい2、3カ月までは米国経済は、比較的堅調に拡大していたのです。