近視を抑える太陽の下での外遊び

ビタミンD生成以外に、日光の効果が期待されるのが、実は「近視の抑制」だ。特に高校生以下の子供をもつ人に知ってほしいが、近年世界中で若者の近視が爆発的に増えている。2015年に科学雑誌『Nature』に掲載された論文によると、日本を含めた東アジアでは60年前と比べて若者の近視率が4倍に跳ね上がり、10代の近視有病率は80%以上。欧米でも半世紀前の2倍である約半数の若者に影響をおよぼしているという。「たかが近視」ではない。

現在、日本の失明原因第5位は強度近視によるもので、強度近視の人が75歳以上になると、そのうちの39%が視覚障害(視力の低下によって日常生活に大きな影響を与える)を起こすという報告もあるのだ。海外では近視を「目の糖尿病」とたとえる研究者もいる。進行しているときは痛くも何ともないが、数十年後に目の病気や失明のリスクがアップするからだ。

近視の発症、または近視になったとしても進行を抑えるために、慶應義塾大学医学部の坪田一男教授は「一日2時間の外遊び(屋外活動)」を提唱する。

「近視になる要因として遺伝がありますが、外で遊ぶ時間が1週間で10時間以上になると、両親ともに近視の子供でも近視になる確率がぐっと下がります。週14時間以上外遊びをすれば、片方の親のみ近視の子供が近視になる割合とほぼ同じになります(図下)」

その理由はいまだ明らかでないが、1つには太陽光を浴びるとドーパミンが活性化され、それが近視を抑制する遺伝子に働きかけるのではないかと考えられている。

それにしても、昭和30年代の子供は一日平均3.3時間も外で遊んでいたのに、現代っ子は平均して30分程度しか外遊びをしていないのだとか。

「太陽光の中でも紫外線の波長は、浴びすぎれば体に有害とされています。食事でも全く食べなければ飢餓、食べすぎれば肥満になるように、太陽光をカットしすぎれば近視になりやすく、浴びすぎれば白内障や加齢黄斑変性の発症率が高まります。バランスの問題です。現代は光をカットしすぎているために、子供の近視が増えていると私は考えます」(坪田氏)

成人でも、40代以降の女性は、女性ホルモン低下の影響で近視が進みやすいといわれるため気をつけたい。

シミやシワ、皮膚がんの原因になるとして嫌われ者の日光。しかし極端に避けるのではなく、せめて手や腕には日焼け止めを塗らず、自粛中ならベランダに出るなど、日々の生活に少しずつ日光を取り入れてみよう。

(写真=Getty Images 図版作成=大橋昭一)
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