しかし、同じことが、社会人になってからの勉強にも当てはまるわけではありません。社会人の勉強では、まず、「何を勉強するか」に関して、非常に大きな個人差があります。
これまでどれだけ、何を勉強してきたか、これからどんな知識を得る必要があるかなどは、人によって大きく異なるからです。
このため、学校に集まって先生から同じ内容の講義を受けるのは、効率が悪い面が多いのです。
「自らカリキュラムを組んで学ぶ内容を決める」という独学こそが、社会人になってからの勉強法では最も効率的な方法です。
英語の勉強では、とくに独学が重要
このことは、外国語の勉強について、顕著にいえます。外国語を仕事に使おうとする場合、学ぶべきことは、どんな仕事の分野かによって大きく違います。
例えば、営業の仕事をしている人と、経済学の研究をしている人では、学ぶべき英語が全く異なるのです。
とくに重要なのは、その分野の専門用語を知ることです。多くの専門分野において、日常生活では使わない多くの専門用語があり、これを知らないと話になりません。
逆に、こうした専門用語さえ知っていれば、文法的に少し変でも、あるいは発音がおかしくても、専門家同士の会話は進めることができます。
仕事に必要な外国語とは、このようなものなのです。したがって、これを英会話学校で勉強しようとしても、もともと無理だということになります。
「学校に行かなければ」というのは思い込み
以上のような事情があるにも関わらず、多くの人は、学校に通いさえすれば知識が得られ、能力が高められると考えています。
そして、独学は、学校に通う経済的余裕や時間的余裕がない場合のやむをえない方法だと考えています。
しかし、これは、学校教育を受けてきた惰性に基づく思い込み、あるいは錯覚にすぎません。
コロナ感染下でいや応なしに独学をせざるを得ない状況になって、初めて独学がいかに効率的であるかに気がついた人が多いと思います。
独学を続けるためにはガイドが必要
しかし、何のガイドもなしに独学を進めることはできません。いくつかのポイントを押さえておくことが必要です。
第一に、「独学を継続させるためにはどうしたらよいか?」という問題があります。学校教育の場合には(とくに義務教育の場合には)、学校に通うことが義務になっています。ですから、途中で勉強を止めることはできません。
ところが独学の場合には、自分の意思で勉強を進めていますから、途中でやめてしまうことがしばしば起こるのです。