小池氏の優先順位はまず都知事選。そして東京五輪だった

今回の新型コロナ対応では、都道府県知事や市長が前面に出て記者会見し、ガバナンス力を競うような様相になっている。仁坂吉伸和歌山県知事、鈴木直道北海道知事、吉村洋文大阪府知事らは事態を掌握して名を上げた首長と言っていい。彼らの中から、遠くない将来、国政に打って出て「未来の首相候補」に名乗りを上げる人物が出てくるだろう。

彼らと比べて小池氏の対応は、印象が薄い。3月上旬までは都民の感染者が少なかったのも事実だが、彼女の関心事が「新型コロナ」以外のところにあったこのは否めない。

小池氏の優先順位はまず都知事選。そして東京五輪だった。7月5日の都知事選で再選を果たすべく「天敵」だった自民党都連と接近。五輪に関しては、予定通り今夏の実施を目指したが、それが無理だと分かると中止や無観客開催を回避して「1年延期」での実現を図った。通常開催が「ベスト・シナリオ」ならば「1年延期」は「セカンド・ベスト」だった。このあたりの変わり身の早さはいかにも小池氏らしい。

感染拡大の夜、安倍氏と「グータッチ」

7月の都知事選に関しては3月24日に、自民党の二階俊博幹事長と都連幹部が会合を持ち、自民党が小池氏を支援することが決まった。

そして同日夜、小池氏は安倍晋三首相とバッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長との電話会談に同席。安倍氏が提案した「1年延期」で決着をみた。

会談終了後、小池氏は安倍氏と「グータッチ」をして喜んだという。

1日にして都知事選の再選に大きく前進し、五輪の2021年開催も固まった。めでたいことが2つも起きたのだからグータッチしたくなるのも分からないではない。

しかし、先ほども書いたようにこの日は、17人の都民の感染が新たに判明。危機が高まっていた時だ。安倍氏と小池氏はこれまでもグータッチする場面がみられたとはいえ、そんな時に「グータッチ」はあまりにも軽い。