例年9月1日から翌年5月31日まで発売され、利用期間は10月1日から翌年6月30日までとなっています。年末年始と年度始め、ゴールデンウィークなどの繁忙期は利用除外日です。

値段は、有効期間が5日間のもので8万4330円、7日間のものが10万4650円。12日間のもので13万0320円となっています。また、どちらか1人、もしくは2人ともが70歳以上である場合には、「シルバー用パス」としてそれぞれ5000円安くなります。

この情報だけを見ると、使い方によってはかなりお得な切符である、というのがピンとこないかもしれません。

グリーン車が利用できるフルムーンパス

お得なことで知られている「青春18きっぷ」は5回利用できて1万2050円という価格設定ですし、2人分でも2万4100円。そう考えると、フルムーンパスはかなり高価です。

しかし、フルムーンパスを使いこなせば、数万円お得に快適な旅をすることができるのです。

青春18きっぷの場合、利用できるのは日本全国のJRの普通・快速列車の普通車自由席、およびBRT(バス高速輸送システム)、ならびにJR西日本宮島フェリーです。乗車可能な区間は広範に渡るものの、普通・快速列車のみ対象のため快適性は期待できません。いわば時間をかけてでも安価で遠くへ行くための切符といえるでしょう。

「元気が有り余っている若者なら長距離移動でも青春18きっぷがおすすめですが、はたしてナイスミドルのみなさん、東京―名古屋でも鈍行でいったら約6時間かかりますよ。大人の旅を楽しむなら断然でフルムーンパスなのです」(東氏)

フルムーンパスの魅力はなんといっても、グリーン席に自由に乗車できることですね。

春の新幹線と富士山
写真=iStock.com/blanscape
※写真はイメージです

さて実際のところ、どれくらいお得になるのでしょうか。

例えば夫婦2人で東京から広島へ旅行に出るとします。正規の料金ですと、新幹線の往復の乗車券と特急券(グリーン車利用)を合わせると2人で10万2040円になります(通常期・往復割引適用の場合)。フルムーンパスは2人で8万4330円(一般5日間用)なので、約2万円安くなります。さらに現地でJRの路線にも乗車できます。

フルムーンパスはのぞみ号・みずほ号には乗車できないものの、新幹線を乗り継げば、東京駅から博多駅まで6時間弱で行くことも可能です。しかもグリーン車です。

ちょっと足を延ばして博多まで行くとします。

例えば、東京駅を出発し京都で2泊、そこから博多へ向かって2泊し東京へ帰るという5日間の夫婦二人旅を想定しましょう。